外部者からの発信
まず始めに僕がこの記事を作成している場所は幌加内高校の職員室からだということをお伝えします。
そして僕自身は学校の先生でもなければ、今年の6月までは旭川でブロガー業や天然石商などを扱う個人事業主として生計を立てていた者です。
その以前は長年世界を旅しながら海外でバドミントン代表コーチなど経験し、様々な国や地域で生活をしていました。
今年度7月より内閣府が始めたプロジェクト「高校魅力化コーディネーター」という立場で教育委員会に採用になり幌加内高校に勤務することになりました。
そんな僕が見る、教育の世界。学校という空間。職員室という室内。
それらのことを包み隠さずお伝えしましょう。そしてそれらを踏まえた上で中学生に向けた9月の学校説明会に足を運んでみることをおすすめします。
職員室の透明化
今では学校の先生の中でもアカウントを作って僕のツイートを見ている人もいますが、基本的に好き勝手に発信させてもらってます。
好き勝手と書くと語弊がありますが、それだけ外部に発信しても恥ずかしくない職員室の職場環境というのが本音のところです。
僕自身、学校に勤務する前は職員室という閉ざされた空間がどのような場所か分かりませんでした。
ましてや教員の世界に全くの部外者が入ってきていきなり情報発信をするのです。
普通じゃ考えられないことですよね。でもこの学校は何一つ問題なくできる環境が整っていたんです。
ある意味先進的な学校改革が行われている学校でもあるのです。
蕎麦だけではなかった
旭川に住んでいる人なら「幌加内高校=そば打ち」のイメージがある人も多いかもしれません。
確かに学校の授業でそば打ちは必修科目なっており、段位を取得しないことには卒業できません(基本的に取得できます)。
しかしそば打ち授業が目立ちすぎて実はあまり知られていないのが、学校の授業で農業、ベーカリー、カフェなどの授業があることです。
ベーカリ担当の先生は余ったトマトジュースの空き瓶を使ったハーバリウム制作を授業に取り込んでみたり、そば粉を使ったパウンドケーキを作ってみたりと遊び心満載のプロの料理人。
そもそもがいくつものホテルで料理長を務めテーブルマナーから和洋中の料理はもちろんのこと、テーブルセッティングまで全てをプロレベルで教えてもらえる学校です。
有名なそば打ちの裏に隠れていただけで、そんなハイレベルな料理人講師がいることはあまり知られていないことです。
■本来は農業高校
幌加内高校は基本的に農業高校に属している高校です。
ですので農業が必修科目となっている学校です。
農業高校が普通校と少し違うところは天候に左右される授業ですので、必ずしも予定通りに毎日の授業が進むわけではないということです。
授業の予定が畑での実習授業でも雨が降ればまた違った授業に変更になりますし、野菜の生育状況によっても授業の内容が変わってきます。
何よりも座学ばかりの授業が得意でない学生にとって、外で野外授業を受けれるのは余計なストレスがかかることなく日々を過ごすことができます。
また畑には町から依頼されている助手の方もいるので地域の方と関わり合うこともできる場所でもあります。
■もちろんそば打ちも
先にも述べたようにそば打ちは必修科目となっています。
そば打ちは一年に一度検定大会があり高校三年生までに最高で三段までの段位取得が可能です。
そば打ちは全国の様々な高校で部活動として活動している学校が少なくなく、幌加内高校に至っては全国大会で3連覇を続けています。
僕自身バドミントンで全国大会優勝という経験がありますが、何かの分野で全国大会で優勝という経験は一つの自信となり、大人になっても一生残る肩書きでもあります。
高校から新しく部活を初めて全国大会で優勝するとなると限られたものになってきますが、子供へ何か新しい世界観を見せてあげることができる一つの手段ではないでしょうか。
不登校だった子が
子供が中学校へ行かない。そんな不登校だった子が何の変哲もなく毎日学校に通っています。
むしろ学校の先生に「あの子は中学校の頃は不登校だったよ」と聞いてこちらが驚くほど。
外見ではそんな感じも受けることもなければ、他の生徒とのコミュニケーションや学校の先生とのコミュニケーションも至って普通に見えていたからです。
年間に数人そのような生徒が入学してくるので学校の対応も、先生の対応もそれらのような生徒に合わせた対応ができています。
「できています」と多少、上から目線のような言い方にはなってしまいますが、部外者目線から見てもそのような学生の教育のやり方が上手だなと感心してしまうこともあります。
またそのような中学校生活を送っていた学生が休むことなく学校へ毎日登校していることも特筆すべき点かもしれません。
寮生活というメリット
僕自身高校生活の3年間を寮生活で過ごしてきました。
思春期真っ盛りの3年間を親と離れて暮らすことにより、いわゆる「反抗期」というものがなかったと思います。
反抗しようにも親と一緒に生活をしていないので、学校の先生に対しての反抗はあったかもしれませんが、親とギクシャクした関係だったことはありません。
親元から離れた場所で生活をすることにより学生のうちから自立心が芽生え、3年もするころには家から通っている生徒よりも生活面での成長も感じられることがあります。
また不登校だった学生が寮生活で同じような境遇の学生と出会うことで互いにとって分かち合える関係をうまく築きあげている様が垣間見えることがありますし、学生たちで協調性を作り出しているところも将来的に大きなメリットとなるでしょう。
新たな試み国内留学
2020年の7月より内閣府が発足した「地域みらい留学365」というプロジェクトが始まりました。そしてこちらのコーディネートが本来の僕の仕事です。
この制度は全国で12校が内閣府から選出され、首都圏を中心とした大都市から高校二年生の一年間を過疎の町に国内留学してもらい地域活性に繋ごうという試みがあります。
しかしこのプロジェクトは在校生にとっても様々な都市の高校生と触れ合うことで知見を広め、違った視野や新しい刺激を受けることができます。
そもそもがそば打ちを授業に取り入れていることで様々なメディアに多く露出する学校に加えて、新たなプロジェクトが開始され全国から注目される高校になっています。
地域みらい留学365に関してはこちらから概要が伺えます↓
なぜ僕はこの高校をお勧めできるか
つい最近まで旅人だった僕を採用する冒険性をはじめとして、教師陣も個性のある方々が揃っているのが他の高校と大きく違うところだと思います。
当たり前のことですが職員室の雰囲気や校風はそのまま生徒へ反映します。
その職員室や学校の雰囲気の良さを外部に発信することができるからこそ、僕はまず見学してみることをお勧めします。
様々な多様性が求められ、誰もが予想のできない時代に入る今。学力だけを重視していた時代はすでに過ぎ去り、より実践的でより個性が求められる時代にこのような高校があること自体を教えてあげることも大人の勤めなのではないでしょうか。