2025年09月04日公開

気の向くままに【旭川】まち吞み放浪記

楽しい時間を求めて今日もまた。あれが呑みたい、これが食べたい、行き先は気分が決めるまち吞み放浪記。中心街の３店をご紹介。　※情報は取材時のものであり、現在、料理の内容や価格が変更されている場合がありますので、予めご了承ください

和酒角打うえ田舎

和酒角打うえ田舎（わしゅかくうちうえだや）。
老舗酒屋による、和酒（日本酒）の新しい楽しみ方を提案する新感覚の酒店だ。
老朽化否めない買物公園の中では、ひときわフレッシュな外観を誇る。
オープンから6年。今やすっかりまちの顔となった。

角打ちとは、本来、酒屋で買った酒を店内で呑むことを言うが、うえ田舎はちょっと違う。

酒の販売エリアから、ご覧の（上画像）の専用通路で角打ちエリアに。
隠れ家ムードたっぷり。客はこの時点でテンションが上昇する（笑）。

角打ちエリアには、立ち飲み専用のカウンターが。
そこに立つと、背中側にあるショーケースから、好みの酒を自分で取り出し席に持ち込めば立ち飲み開始。
日本酒専門店であるが、ビールもあるので、そこは遠慮なく。まだ暑いので「まずはビール」だよね。

ショーケースの酒瓶には、色分けした水引がかかっていて、色によってプライスが違う。
ちなみにお手頃な赤色830円から、上は数千円まで各種。

ラインナップには、他の酒店では扱いの少ないものも多々あって、日本酒愛好家を喜ばせる。

そうそう、楽しく吞むには（体に優しく呑むには）酒肴も忘れずに。

上は、かま鉄の揚げはんぺん（480円）。
市内東光にある人気惣菜店「かま鉄」の味が、ここで食べられるなんて、いや、これで酒が呑めるなんて、実にオモシロイ。
はんぺんは素材味たっぷり。揚げてほんのり香ばしい、加えて、ふんわり食感が病みつきの旨さ。もちろん、和酒に合う事この上なし。

一緒に出してくれたこの醤油。
いい意味でクセ強め。かま鉄の味ともよく合う。
こうした演出も気が利いていて嬉しい。

上は、三升漬けクリームチーズ（630円）
北海道の調味料「三升漬け」を店独自に配合した超珍味。
海苔にディップして味わえば、香味が何とふくよか。辛いイメージの三升漬けは、程よいアクセントに。
チーズはワインのお供というイメージがあるが、和酒にこそチーズ。これもあり。

前掲のチーズが気に入ったので、では、それによく合う酒をと取り出したのが、上の龍力（たつりき）生酛仕込み。
生酛（きもと）仕込みの深い味わい（業界用語では複雑味と言ったり）は、クリーミーでまったりとしたテイストの料理、特に乳製品とも相性が良いとされる。
※筆者、きき酒師の資格あるんで、こういう話は詳しい
さすが、山田錦を見事に醸した龍力の、穏やかながらも懐の深い旨味は、味の濃い例のクリームチーズをピタリと射止めたのだった。

龍力が気に入ったので、違うタイプをもう一杯。
気に入った蔵の酒は、いろいろ呑んでみたい筆者である。

酒にはツマミは要らないという人間がたまにいるが、筆者は逆。
旨い酒を呑めば、美味しいものが欲しくなる。
上は、旭川鶏卵うまたま（380円）。道の駅にある逸品をここで味わえるシアワセ。
まったりとした卵黄。で、意外に味が濃いこの煮卵は、これまた酒を誘うものだから仕方ない（笑）。
で、またまた酒は進み夜は更けるのだった。

お店情報

店名：和酒角打うえ田舎(うえだや)
住所：旭川市４条通８丁目
電話番号：0166-25-8222
営業時間：13:00～21:00（角打ち営業16：00～）
定休日：月曜、最終日曜
駐車場：なし

鮮家光嘉

鮮家光嘉（みつよし）。

ところは「さんろく街」、住所も３の６。
昭和通沿い、店の前のバス停が目印になるので、待ち合わせには打ってつけ。

以前食べた牡蠣料理がとても美味しく、また行くべしと思っているうちに少しご無沙汰。
であるが、この夏、ようやく訪問がかなう。

さすが鮮家というだけあって、生鮮はお手の物といった感じ。
実際、店内には水槽があって、カニが居たりもする。
ほか、メニューはホッケやニシンなどの焼き魚類、通好みのツマミもズラリ。

当日は２名でお邪魔し、まずは刺身を軽く盛り合わせて頂くようお願いした（事前注文）。
ネタの脂のりの良さにうっとりする我ら（笑）。スタートは上々である。

この頃の同店の活毛ガニの出し値は、グラム1500円（だいたい市況の相場並み）。
昔に比べ、高くなったよねと思うも、たまには食べたいのが毛ガニだ。
ということで、ごく小さいのをお願いした。
小ぶりなれど、身の入り、味噌も麗しく、コンディションは申し分ない。さすがのお店である。

上、味噌にばらした身を日本酒少々と和えて、酒肴を自作する（笑）。
味噌は鮮度よく、濃厚な旨味がたっぷり。カニはこうして食べるのが旨い、我ながら極上のツマミと悦に入る筆者。
この時点で、日本酒のピッチが加速する。

ふと壁を見ると、『いい茶こ、はじめました』。
いい茶ことは、あの有名な麦焼酎「いいちこ」の緑茶ハイのこと。
いいちことお茶で「いい茶こ」。
筆者はいいちこを愛飲しているので「いい茶こ」は既知のドリンクだが、これを推奨する店には、旭川では初めて出会った次第。

いいちこのすっきりした飲み口に引き立つお茶の香り。
これがまた、料理にも合うというから居酒屋向き。
この美味しい関係が、我らの食欲を後押ししてくれる。

上は、おや、珍しいねと注文した鴨つくね（2本300円）。
じゅわっと脂が香る珍品に、いい茶こ旨し!! 再び日本酒旨し!!
ほかにもツマミを頼んで（たしかそんな記憶が）宴は穏やかに盛り上がるのだった。

お店情報

店名：鮮家光嘉
住所：旭川市３条通６丁目
電話番号：0166-73-3448
営業時間：17：30～23：00
定休日：月曜
駐車場：なし

立ち飲みワインわ

文字を打ち損じたわけではない。
店名は『わ』。
込められた思いは和なのか輪なのかは知らぬが『わ』である。

ところは、イオンの向かい「駅前ビル」の１階。
位置的には、仲通り側といえば、探すときの目安になるか。

中に入れば、カウンターだけの店内。

ワインの店だからして、ワインがあるのは当たり前だが、「北海道ワイン」のラインナップとは見上げたもの。
何かしら、ポリシーが伝わってきて、こちら側としても「よーし」という気分になる（笑）。
よし、呑みましょうぞ、北海道のワイン。

お奨め頂いたのは『Presque Rien』という、発泡性のロゼ。
※ラベルのないボトルなので、裏ラベルをこっちに向けてます
これがなんと、鷹栖町のワイン。
鷹栖町といえば、近年、クラフトジンが有名だが、ワインも造っていたとは知らなんだ!?
これに出会えただけでも、この店に来た甲斐があるというもの。

フレッシュな果実味に穏やかな酸味が加わって、すきっとした飲み口。
スムーズな喉越しに、何かしら北海道の、上川のすばらしさを思う一杯を堪能。

その後は、スパークリングワインをやりつつも、気になっていたのが、上の自家製塩レモン。
これで作るレモンサワーが、相当に旨い。
いたずらに甘くないシンプルな爽やかさ。いわゆる大手メーカー品の材料で作る居酒屋サワーとは全くの別物。
いやはや、コレははまる。

と言いつつも、ウイスキーも日本酒もありますよ、というので次は日本酒を（笑）。

まさかのラベルだが、『万齢ニャン齢』という佐賀のれっきとした酒。
ほんのり甘い果実香、すっきりとした飲み口ながらも深みのある米の旨み。
可愛いイラストの「しっかり造ってます」が、きちんとカタチになっている。

ワインも、レモンサワーも、この日本酒も、初めての店で初めての出会い。
お手並み拝見、というつもりもなかったが、お店の実力を如実に垣間見た初訪問となった。
リピートさせて頂くつもり。