令和4年度「市政方針」
■旭川の大きな可能性とは
ウィズコロナにあっては、旭川こそ大きな可能性がある。私は、そう信じています。
新型コロナウイルスは、昨日までの日常は当たり前ではないということを私たちにまざまざと見せつけ、生活にも大きな変化をもたらしました。日常の暮らし、働き方、価値観も大きく変わってくるまさに前例なき時代において、旭川こそ安全安心に、心豊かに暮らしていくことができる大きな可能性があると思っています。なぜなら私たちの愛するふるさと旭川は、医療福祉、災害の少なさ、都市と自然の融合など、様々な魅力に満ちあふれたまちだからです。
私は、まちの魅力、市民の想いを、職員がコーディネートし、「旭川の力」を一つにし、最大限発揮していくことで、旭川は再び輝きを取り戻すと確信しています。
旭川の未来の扉を開くための各種政策を、皆様にお伝えします。
■市長就任から5か月
昨年9月、旭川の閉塞感と停滞感の打破を願う多くの市民の皆様から負託を受け、旭川市長に当選して以降、市長としての責務を果たすべく、市民の皆様の幸せと明るい未来の実現のため、まい進してきました。
この間、様々な困難もありましたが、その都度、議員の皆様方にお支えいただき、市民の皆様、時には全国の皆様からの後押しを受け、そして、職員の方々の尽力もあり、旭川が抱える問題に真正面から向き合い、全力で取り組んできました。改めて感謝を申し上げます。
就任から5か月を迎えましたが、市民の皆様との約束である公約のうち、当選後、特に速やかに取り組むこととしていた3つの公約の「新型コロナウイルス感染症対策」「いじめ問題の真相解明と再発防止」「除排雪先進都市の実現」について、着実に進めてきました。
新型コロナウイルス感染症対策については、これまで、感染拡大を防止し、経済活動を維持するため、市内中心部における無料PCR検査、道の第三者認証を取得し、CO2センサーを設置した飲食店への奨励金支給、予約や接種券が不要な3回目のワクチン接種体制の確保など、タイムリーに取り組んできました。
本市においても、連日、多くの感染者が確認される中、市の総力を挙げて保健所への職員応援体制を整え、市民の命と健康を守るため、積極的疫学調査を継続してきました。
今後も、国や道と連携しながら、3回目のワクチンの円滑な接種や医療提供体制の確保など、感染防止対策を徹底するとともに、社会経済活動の正常化を図っていきます。
全国的に注目を集めているいじめ問題については、いじめ防止等対策委員会、いわゆる第三者委員会に対し、ご遺族に寄り添いながら、かつ、スピード感ある真相解明を求めてきました。
昨年12月9日、ご遺族より、私と教育委員会に対し、第三者委員会に諮問している4つの事項のうち「いじめの事実関係の調査と検証」に関する部分だけでも2月13日、遅くと年度内に報告が実現するよう求められ、私も改めて要請を行っているところです。
また、令和4年第1回臨時会においては、最終報告の期限を調査開始から1年後の本年6月末日とし、前述の報告が行われる際、最終報告のめどを示していただけない場合には、市民の不安を解消し、また市民の生命、身体の安全を守る責務を持つ市長として、真相解明に向けた調査を進めることができるよう、並行調査の実施に向けた準備を進めていく旨を答弁しました。引き続き、ご遺族に寄り添った真相解明に全力を尽くします。同時に、悲しい事態を二度と起こさないため、再発防止対策を創り上げることも、私に課せられた使命です。
昨年11月には末松信介(すえまつしんすけ)文部科学大臣と意見交換を行い、12月には大津市や岐阜市、寝屋川市を視察し、他都市の事例から本市の課題も明らかになり、専門の組織体制や本市独自の再発防止対策の必要性を改めて認識しました。
今後、市長部局と教育委員会との連携を強化し、「いじめ防止条例(仮称)」の制定や市長部局におけるいじめ・人権に対応する専門部署の設置検討など、実効性のある体制の構築と再発防止対策の整備を進めます。
除排雪先進都市の実現については、今年度から、既に生活道路の排雪回数を1回から2回へ倍増するとともに、北海道開発局の特段のご配慮により、河川敷に150万㎥の雪堆積場を確保しました。
昨年11月には、北海道市長会と自民党国会議員との政策懇談会において、現状や課題、積雪地における財政措置の必要性を訴えるとともに、国土交通省や防衛省に対しては、交付金制度の創設や拡充について要望を行うなど、除排雪に関わる新たな財源確保にも努めているところです。
1月には北海道開発局・上川総合振興局と本市の3者による道内初の協定を締結し、国道・道道を管理する機関と連携しながら、本市幹線道路の交通ネットワークの確保に取り組んでいます。
■上川のリーダーとして国・道との連携
都市機能が集積する本市は、北北海道の経済成長をけん引する中核都市として、上川管内のみならず、道北地域の市町村から大きな期待が寄せられています。1月には、上川中部圏の1市8町において「旭川大雪圏域連携中枢都市圏」の調印式を行い、併せて首長サミットを開催し、2030年の圏域の将来像について意見を交わしました。
連携中枢都市圏の形成により、取組みを充実させることで、最大で年2億7千万円程度の交付税措置が見込まれるため、今後は、こうした財源を活用し、圏域の発展をさらに推進します。
令和4年度は、観光・農業・ものづくり産業の振興、人口減少・少子高齢化への対応、持続可能な地域公共交通の確保や社会資本整備について、新たに設置する「旭川大雪圏東京事務所(仮称)」を活用し、国の政策情報の収集や圏域の情報発信に加え、地域の実情を迅速に国へ届けていくなど、中核都市としての自覚を持ち、圏域の課題解決を図っていきます。
国が進める地方創生は、頑張る地方を国が情報・人材・財政面から支援するものです。
ウィズコロナにあって、国においては、経済や教育、行政など様々な分野におけるデジタル化の推進、地域ぐるみでの孤独・孤立化への対応、女性活躍の推進、1次産業の振興、さらにはいじめや児童虐待の防止など、時代の要請に応じた政策を次々と打ち出しています。
また、鈴木直道(すずきなおみち)北海道知事は「ゼロカーボン北海道」を掲げ、太陽光や雪氷冷熱といった地域特性を生かした、新たな環境政策を推し進めています。
本市としても、国や道の動向を注視し、常に新しい政策情報の収集に努め、国政・道政と連携しながら、先駆的なまちづくりを推進します。
■安心・挑戦・変化。そして、未来へ責任を持つ財政
コロナ禍から、まず第一に市民の命と健康を守り、その上で、失敗を恐れず挑戦し、変化を実感していただけるよう、「安心・挑戦・変化」をテーマに市政を運営します。
本市には、季節の移り変わりを実感できる素晴らしい自然をはじめ、先人の努力により培われた地域資源や歴史があり、まちの魅力として多くの人を惹きつけてきました。前例のない時代にあって、新たな時代を切り拓き、夢と希望が持てるまちへと前進させていくためには、こうした「魅力」を、旭川を変える「力」につなげていく発想と行動が必要です。
令和4年度は、第8次旭川市総合計画が目指す都市像の実現とSDGs(エスディージーズ)の達成に貢献するため、総合計画の重点テーマである「こども」「しごと」「地域」に関する施策を着実に推進するとともに、85の公約実現に向けて、取り組んでいきます。
各種施策の実行と同時に、将来に責任を持つ財政運営を行っていくことが必要不可欠です。
本市の財政は、自主財源の割合が低く、地方交付税に依存した財政構造にあるため、持続可能な市政運営に向けて、経済を立て直し、市税等の自主財源の増加につなげることや、国の政策予算の積極的な活用など、新たな財源の確保に取り組んでいくことが重要です。
また、行財政改革推進プログラム2020では、財政調整基金残高30億円以上の確保を目標としていますが、令和3年度末の見込みで47億円程度、さらに令和4年度末では54億円程度を見込んでいます。しかしながら、本市の財政は中核市の中でも厳しい状況にあり、引き続き財政基盤の強化に向けた取組みを着実に推進します。
■新たな100年に向けて
旭川の歴史を振り返りますと、明治18年、後に初代北海道庁長官となる岩村通俊が近文山から上川原野の国見を行い、発展の可能性を見い出したことで開拓が始まりました。大正11年8月1日に市制が施行されてから、本年、100年の節目を迎えます。この間、先人たちは様々な苦難を乗り越えて、現在の礎を築いてきました。国内においては、第6波といわれる新型コロナウイルス感染症が急拡大し、本市を含む道内全域においても、大変、厳しい状況が続いています。
医療従事者をはじめとしたエッセンシャルワーカーの皆様は、市民の命と健康、そして生活を守るために、これまで長期間にわたって全力を尽くされており、医療現場などにおいて、日々奮闘している皆様には、心からの尊敬と感謝の念に堪えません。先人たちが困難を乗り越えてきた歴史があるように、私たちも、先人たちが築き、守り、育ててきた旭川を、次の100年に向けて、さらに前進させていかなければなりません。
日本最北端の中核市として、地域をけん引する新たな価値を創り上げ、一人一人が幸せを実感できる旭川の実現に向け、市民の皆様と力を合わせながら、前例のない新たな時代を切り拓きます。
「全ては、市民のために。」
結びに際し、市民の皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げますとともに、市政に対する一層のご支援とご協力をお願い申し上げ、令和4年度の市政方針とします。
主な施策
■新型コロナウイルス感染症対策
感染症対策官を配置
感染管理認定看護師資格を持つ、感染症対策官(仮称)を配置
自宅待機者の支援
自宅待機者の生活支援や、かかりつけ医による健康観察体制を整備
新型コロナワクチンの万全な接種体制を構築
集団接種会場の定員を増やし、予約サポートセンターの設置や高齢者バス送迎付き接種を実施
修学旅行者へのクーポン券を配布
修学旅行等の来訪者にクーポン券を配布し、観光需要の回復を促進
■いじめ・子ども・子育て
いじめ防止体制の整備
市長部局への専門部署の設置など、有識者等の意見を踏まえた「旭川モデル」の構築を検討
いじめ防止条例の制定
いじめ防止条例(仮称)の制定に向けた取組みを実施
■子育て世代包括支援センターの設置
妊娠期から乳幼児期まで切れ目ない支援を行う施設を、市内中心部に設置
新生児へ記念品を贈呈
新生児への絵本贈呈に加えて、4か月児健診時に旭川産の木製品を記念品として贈呈
■活力ある経済対策
国内外における戦略的な市場開拓
地場産業の国内外への販路開拓とブランド化を支援
スタートアップ企業の伴走支援
旭川産業創造プラザを活用した、創業希望者への各段階に応じた伴走型支援
ユネスコ創造都市ネットワークのさらなる連携
同ネットワークの総会やデザイン分野の会議へ出席し、本市の魅力を世界にPR
路線バスの特定の日の無料化を実施
公共交通の利用促進として、6月~8月のうち4日間、路線バスの運賃を無料化
LCC路線の誘致
トップセールスによる、LCC(格安航空会社)をはじめとした路線誘致活動の実施
旭川大雪圏東京事務所の設置
国との連携強化と圏域の魅力発信を担う旭川大雪圏東京事務所(仮称)を設置
■スマートウエルネスシティあさひかわ
スマートウエルネスあさひかわプラン(仮称)の策定に着手
ウエルネス(健幸)なまちづくりを推進するためのプランを準備
地域まるごと支援員の配置
困りごとを抱えたり、孤立している市民を取り残さないため、「地域まるごと支援員」を配置
■若者と女性活躍、市民参加
旭川大学をベースとした市立大学の設置に向けた準備
旭川市立大学の令和5年度の開学に向けた取組みを実施
旭川未来会議2030の実施
「2030年の旭川」のあるべき姿をテーマに、市民が分野ごとに集まって議論
■観光・スポーツ・ コンベンション
大雪エリアのアクティビティを支援
冬季アクティビティの充実と、川下りなどのアウトドア観光商品の開発・販売
花咲スポーツ公園を改修
花咲スポーツ公園陸上競技場のトラック改修や公認プールの設置に向けた調査を実施
市内の運動公園を整備
室内練習場の設置検討やランニング用ウッドチップ舗装の調査を実施
スポーツ大会・合宿の誘致
日本代表をはじめとした、各種スポーツ合宿の誘致等
■除排雪先進都市
除排雪の体制強化
雪堆積場の確保や官貸除雪車両の増強、除雪車両等運転免許取得助成を拡充
地域の支え合いによる高齢者等除雪支援体制の拡大
住民等の支え合いによる、高齢者等除雪支援に取り組む地域を拡大
市内幹線道路の交通ネットワーク機能確保
生活道路排雪2回の継続や、除雪車両へのGPS試行導入を全地区に展開
■市役所改革とワーク・ライフ・バランスの推進
文書管理・電子決裁システムの導入
電子決裁機能を備えた文書管理システムを導入
市民課・支所窓口のICT化を推進
窓口の利便性向上のため、デジタル技術の活用を推進
CDOの配置と行政DXの推進
CDO(最高デジタル責任者)を配置し、デジタル技術による業務改善に着手
市政補佐官の配置
国と連携したまちづくりを強化するため、市政補佐官を新たに配置
■1次産業・ゼロカーボン・環境
スマート農業・省力化技術の導入を支援
GPSガイダンス・自動操舵システムの導入を支援し、スマート農業を推進
地域エネルギー設備等の導入を促進
地域特性を生かした、再生可能エネルギー設備等の導入費用を補助
■市制施行100年
市制施行100年記念事業の実施
市制施行100年の節目を記念した式典やイベント等の実施
市民の日の制定
8月1日を「旭川市民の日」に制定し、市有施設の無料開放等を実施
旭川ミュージックウィークの開催
多様なジャンルの音楽に親しむことができる「旭川ミュージックウィーク」を開催
令和4年度「教育行政方針」
■はじめに
旭川市教育大綱の基本方針である「主体的に学び力強く未来を拓く人づくり」の実現を目指し、教育行政を推進していきます。
■基本的な考え方
学校教育について
第2期旭川市学校教育基本計画にづき、3つの重点的な取組みを進めます。
①子どもたちに未来を生き抜く力を育む
新型コロナウイルス感染症への対応については、感染症対策を徹底するとともに、学びの保障や心のケアに努めます。
確かな学力の育成に向け、小学校における専科教員による指導の充実に取り組むとともに、全国学力・学習状況調査の結果を分析し作成した「指導の改善策」の周知を図り、授業改善を進めます。
ICTを活用した教育を推進するため、専門的な外部人材による運用面の支援や教員研修等を行う他、モデル校による1人1台端末の持ち帰りの試行を実施します。
いじめ問題への対応については、現在、調査を進めている重大事態の報告や再発防止に向けた提言等を踏まえ、「いじめ防止条例(仮称)」の制定や旭川市いじめ防止基本方針の見直しを進めるとともに、積極的ないじめの認知や迅速な対処など、いじめ防止対策の強化に取り組みます。
不登校の対応については、教員やスクールカウンセラー等による教育相談や家庭訪問等を充実させ、未然防止を図ります。
特別支援教育については、新たに専門的な知識や経験を有する特別支援教育専門員を配置するとともに、特別支援教育補助指導員を増員します。
②子どもたちの学びの環境を整える学校施設の安全確保のため、耐震化が必要な学校の設計や工事を実施します。
就学援助制度等により保護者の経済的負担の軽減を図るとともに、関係部局と連携し、各種相談窓口や支援制度の情報提供に努めます。
③子どもたちをともに育て豊かな学びをつくる
地域の理解と協力を得た学校運営に向け、コミュニティ・スクールの取組みを進めます。
また、教員それぞれのキャリアステージに応じた研修を計画的かつ効果的に実施します。
社会教育について
旭川市社会教育基本計画に基づき、5つの重点的な取組みを進めます。
①市民一人一人の主体的な学びの機の充実
科学館で特別展「恐竜ワールド」を開催し、関係者と連携して、恐竜がいた時代の旭川の様子を紹介するど、魅力ある学習機会を提供します。
②市民の学びを支える環境の整備
公民館においてインターネット環境の整備を進める他、公民館の位置付けについて考え方を整理します。
市民文化会館について、整備の方向性を検討します。
③地域における学びの循環
モデル地域において地域学校協働活動の研修会等を実施し、地域の人材や資源の把握などに取り組みます。
④市民の心を豊かにする文化芸術活動の充実
旭川ミュージックウィークや、市制施行100年に合わせて、中原悌二郎賞創設50周年記念講演会を開催します。
⑤郷土文化の保存・活用と郷土愛の育成
図書館や博物館などで、旭川のまちの歩みや暮らしの移り変わりに関する企画展の他、市内の縄文遺跡をテーマとした企画展を開催します。
国の交付金などを活用し、民間アイヌ文化施設の新館整備に対し支援を行う他、知里幸恵氏没後100年を記念する事業などを実施します。
優佳良織(ゆうからおり)については、技術の保存・伝承に向けた支援を継続します。
むすび
子供たちが心身共にたくましく成長し、市民が生き生きと心豊かに暮らせることを目指し、新しい時代の教育行政を全力で推進していきます。
◎
全文は市HP「市政方針」「教育行政方針」のページに掲載しています。
市政方針
教育行政方針
■こうほう旭川市民のご案内
こうほう旭川市民「あさひばし」は、毎月15日までに市内全戸配布しているほか、市HPや電子書籍版でも公開しています。
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