F i l e N o . 0 6 建具職人
扉や窓、障子、ふすまといった、開閉できる仕切りである建具を製作します。素材は木以外に鉄やアルミなどを使用。開口部の隙間をなくす技術や美しさが求められます。
「木を組む」。伝統の技で広がる世界
■Q 建具の世界に入ったきっかけは?
小学生の頃、図工で木製の本棚を作って「もっといろんな物を作りたい」と思いました。そのときから木工が好きでしたが知識はなかったので、技術を身に付けて将来の選択肢を増やそうと、高校卒業後は旭川高等技術専門学院に進みました。そこで現在の勤務先の社長から、釘を使わずに加工した木を組む「組子」を教わり、建具に興味を持ちました。
■Q 建具にはどんなものがありますか?
建具は技術と工夫次第で、様々な物が作れます。木材の接合法だけで数十種類あり、1つでも多く試したいです。使う木の種類も軟らかさや色合いが多様なので、注文に応じて作る物の幅が広がります。建具は扉や窓枠などが一般的に知られていますが、ウニ漁で水中をのぞく「箱眼鏡」なども手掛けています。
■Q 作業で気を付けていることは?
機械加工できない作業は、のみやのこぎりで手作業します。1㎜単位の精度が求められるので、手先の器用さが重要です。部品が数百に及ぶものもあり、1つでも破損してしまうと最初からやり直しになることもあります。建具は手で触れるので、表面の滑らかさが大切です。最後のかんながけまで気を抜けません。
■Q やりがいを覚える瞬間は?
精度が高まり、作業が速くなったときです。取り付けや手直しをする現場など、ミスができない状況で、高い完成度の建具を作ることができると達成感があります。その建具が使われる光景を思い浮かべると、「多くの人が触れ、何十年と使われるんだな」と感慨深くなります。
■Q 職場の雰囲気と将来の目標を教えてください
尊敬でき、優しく教えてくれる方が多く、50歳ほど年上の大先輩もいます。今とは違う技術や、熟練された無駄のない動き方を教わっています。人生の先輩たちと世間話をしながら、一緒に作業するのは楽しく、勉強になります。
目標はお客さんに頼りにされ、丁寧に要望を聞き、世界に1つだけの特注品を作れる職人になることです。10 年、20年と長く愛されるものを作りたいです。
建具職人 中川 仁さん
道立旭川高等技術専門学院を卒業。今年、市内の杏和建具に入社。昨年の技能五輪全国大会(家具)で敢闘賞に輝く。
CHECK!! 建具職人になるには?
建具メーカーへの就職の他、建具師の見習いとして経験を積む道もあります。旭川高等技術専門学院の造形デザイン科では、木材加工法や機械操作などを学べます。建具製作技能士の国家資格があります。