File No. 08 タイル工
建物の壁や床などにタイルを張り付け、外観を美しく仕上げます。下地を整え、張る位置を見定めてバランスよく並べるなど、正確で素早い作業が求められます。
進化するタイル、広がる職人の技
■Q タイル工の世界を知ったきっかけは?
昔から図画工作が好きでした。技術系で手に職をつけようと、旭川工業高校に進学しました。求人を見て、建物を美しく仕上げるタイル工に興味を持ちました。「タイル張りの建物は風格があり立派」という好印象もあり、仕事に充実感がありそうだと思いました。
■Q 仕事の流れを教えてください
まず、現場で施工面のスペースや形状を確認します。採寸し、タイルを何枚、どう張り付けるか計算する「割付」をします。次にタイルを必要な大きさにカット加工し、特殊なボンドなどで施工面に接着して、板でたたいてバランスを調整します。この調整が仕上がりを左右するので、特に神経を使います。
■Q 体力的には大変ですか?
タイルの入った段ボールは25㎏ほどあります。足場を上り下りするので、新人の頃は筋肉痛になりましたが、じきに慣れました。ボンドを使っていなかった時代は40㎏のセメントを運んでいたので、前より負担は減りました。
■Q 成長や、やりがいを感じるときは?
経験を積んで技能士の資格を取れたとき、職人として認められた気がしました。現場を見て出来上がりをイメージし、全体の段取りを決められるようになってからは「一人前になれたかな」と思えました。タイルは銭湯や浴室に使われるイメージが強いかもしれませんが、今ではピンポイントで内装にあしらうなど多様化しています。素材やデザイン、工法も進化し、経験できる幅が広いです。現場を見たお客さんに「イメージどおりです」「すごくきれいになりましたね」と言われたときはとてもうれしいです。
■Q 若手に伝えたいことは?
今は現場を統括する職長をしています。若い人には「まず自分、そしてお客さんが納得できるような仕事をしよう」と伝えています。「いいものを作ろう」という気持ちや責任感があると、成長が早いと思います。タイル工の業界も高齢化が進み、人手が足りません。35年以上やってきたことを全て教えているので、若い人に後に続いてほしいです。
タイル工職人 川本 浩貴さん
高校卒業後、タイル施工業のセラホック(旭川市)に入社。住宅の他、北海道日本ハムファイターズの新球場なども担当。
Check!!タイル工になるには
タイル工事会社に就職し経験を積むのが一般的です。左官業者団体の職業訓練校でも技術を学べます。一定の実務経験があり試験に合格すると、国家資格のタイル張り技能士(1級・2級)を取得できます。