日本初!! 旭川に男子バレーボールプロチームが誕生
ギリシャ神話の北風の神「ボレアス」の頭文字をVに変えて命名した『ヴォレアス北海道』、それがチーム名。
8月に行なわれるお披露目試合に向け、着々と準備が進められているなか、正式発表されている池田憲士郎・加藤伊織・白石啓丈の3選手に、プロへの取り組みについてざっくばらんに話してもらった。※白石啓丈氏は2021年5月に退団
出典:asatan
※白石啓丈氏は退団しているため画像の掲載は控えさせていただきました。
■チャレンジ精神がプロチーム設立へ
池田憲士郎さん(以下:池田) 一昨年の9月が10月頃にバレーボール関係者との立ち話から始まったんです。その方に「おまえのところでやれよ!」って言われて、「本当にやってほしいのなら、やりますよ」って。みんな冗談だと思っていたと思いますが、やっちゃうのが僕なので(笑)。
加藤伊織さん(以下:加藤) クラブカップが終わった後ですか?
池田 そう。北海道出身者に、いい選手がたくさん居るのはかっていたので、彼らが北海道に戻ってプレーをしたら強いチームになると思った。それと、北海道コンサドーレ札幌。レヴァンガ北海道、北海道日本ハムファイターズが、ドンドン盛り上がってきて、北海道からバレーボールがなくなってしまうんじゃないかという恐怖と危機感があったから。それで、内々で進めていたと時に、伊織の存在を思い出して電話したワケ。
それが去年の4月。
バレー界や北海道に対する僕の思いなどを全部話して「一緒に0から作ってみないか」って声を掛けました。それで騙されて来たって感じ。
一同 爆笑
加藤 タイミングが良かったんです。Vリーグが終わり、ちょうど進退を考えていた頃です。監督が変ってから出場機会が減っていて、バレーボール選手としては6年目で、選手としての引き際を考えていたんです。ここで、パッとやめて、所属していた豊田合成の社員に線ねんするのも悪くないかなぁと思っていた時でした。
もともと北海道に帰りたいという願望もあったし、北海道でバレーボールができて、なおかつ仕事もある。さらに1からプロチームを作るって、純粋に面白いかなって思ったんですよ。騙されました。
一同 爆笑
池田 ヒロはもっと後だよね。
白石啓丈さん(以下:白石) 僕は、7月頃ですね。
池田 ヒロの場合は、僕の思いを全部伝えている後輩経由。彼が「力になります」って言ってくれて、ヒロを紹介してくれました。
池田憲士郎さん
ヴォレアス北海道GM/ウイングスパイカー(2017年取材当時)
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一同 爆笑
池田 結局みんな安定より挑戦を選んでいるんですよ。僕もそうだし、それに共感してくれてきてくれていると思っています。
白石 バレーボール界の中で、ほかのチームにないことをやっていると思ったので、そこが面白いとなと感じたし、バレーボール界が変ってくれたらいいかなと思って。
池田 1年経ってどう?
加藤 思いに変わりはないです。だだ最初は、Vリーグを目指そうってビジョンはあったんです。かなり面白そうなことをやるし、プロチーム作りに携われるなら、これ以上楽しいことはないと思ったんですけど、僕の中では、漠然としたビジョンしか見れていなかった。
でも日を重ねるごとに、ビジョンに対するプロセスがかなり明確になっていく、そしてまた新しい可能性を見出していくことが実感できて、すごく楽しいですね。目標に向かって進んでいくプロセスと、目標がどんどん上がっていっている様が…。
白石 まだ半年も経っていないけど、今もどんどん大きく動いているので、すごい楽しいし、自分もこの先が楽しみ。
池田 たぶん普通のチームが辿って来た道と、まったく違うことをやっているんですよ。バレーボール界の暗黙のルールのような常識的なステップを悪い意味じゃなく完全に無視して、「プロスポーツって、こうあるべきなんじゃないの?」ってことを実行しています。
例えば普通はバレーボールのファンだけにフォーカスするんですけど、僕らはバレーボールをやっている人はもちろん、それ以外の人にどれだけ知ってもらい、見たいなって思ってもらえるかが生きるか死ぬかのポイントだと思っています。なので、そこに重点を置いて活動しています。
■業界初尽くしで強いチームづくり
池田 そうですね。活動内容に広報活動やメディア対応も入れています。既存のチームを見ていると、選手は選手なんですよ。ファンサービスはしますが、やらされてるなって感じがします、だからバレーボール界って、あまり人気がないんだなって思っています。
個人でも応援してくれる人を選手一人ひとりが真剣に自分で探しにいくような、そういう選手が集まって本当に応援されるチームになると思っていますし、そういうチームを目指しています。なので、選手一人ひとりに広報活動をしてもらうし、スポンサーを集める泥臭い動きもしてほしいと思っています。それは単に僕が楽をしたいとかじゃなく、実際に動くことで大変さがわかるじゃないですか。それがチームの力になるなと考えています。それらを含めて、理解し実践できる人を、と考えています。
加藤伊織さん
ヴォレアス北海道 副部長/ミドルブロッカー(2017年取材当時)
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池田 まずは視覚的に覚えてもらおうと思ってポスターをいろんな場所に貼らせてもらっています。旭川の飲食店、銀行とか北海道全域の市町村の役場とか…。それも先方に貼ってもらうんじゃなくて、承諾いただいた方と話しをして、自分たちで貼りに行っています。それをTwitter(現:X)やInstagramなどのSNSに毎回投稿して、少しずつ知ってもらおう活動をしています。SNSを使って活動しているバレーボールチームはないですから。
加藤 まだ具体的な活動をしていないにも関わらず、フェイスブックのフォロワーが935人もいます。男子バレーボールチームは26チームありますが、9番目ぐらいに多いんですよ。
白石 チャレンジⅠぐらい?(笑)
池田 そう、そう(笑)。フェイスブックの『いいね!』は、プレミアリーグを除いたら1番多い。ほかのチームには公式Instagramが、ほとんどない。Twitter(現:X)は470人ぐらいと、まだ少ないですけど、そもそもバレーボール界でSNSを真剣にやっているチームが、ないんです。しかも、広報全般に力を入れているチームもないんです。それってどうなの?って思っていて…。
加藤 今のこのSNSがすごい時代に無頓着なんですよね。投稿するとしても、シーズンが始まってから、試合結果ぐらいじゃないですか。
白石 ほとんどが実業団のチームなので、そんなことをやらなくても関係ないんです。
池田 実業団に所属している選手は、引退した後も会社に居られるという反面、ストイックさとか必死さがなくなるんです。生きるか死ぬかの世界ではないんですよ。でもプロだったら自分の給料を稼がなくてはいけないとか、ファンを増やさなくてはとか考えると思うし、そのことによって競争も生まれる。来年の年俸は自分の活躍で決めるんだってなるじゃないですか。これがプロだと考えています。
加藤 今、僕らがプロチームを作るということは、北海道のバレーボールをしている人たちの目標が僕らになると思うんです。そうなったときに僕らのプレーや立ち振る舞いを見て、「バレーボールの選手ってすごいね」って感じて欲しいので、僕らが変なことはできない。バレーボール選手として、プロとして最低限のことはしっかりとやらなくてはダメ。ただ単に強いだけでは、魅力のあるチームだと思わない。「強いし、北海道にいいチームできたね」って言ってもらえることをしていきたいと思う。
池田 現時点では社員のみで構成されていますけど、これからプロ契約の選手も増やします。独自運営できなかったら終わりです。だから関わる人間すべてが必死になるはずです。従来のスポンサーは、現金出資が主流ですが、それ以外でのサポートシステムを導入しました。電力会社レジェンド電力さんが、新電力自由化に伴い、電力会社との契約を切り替えることでチームを応援できる仕組みを提案してくれたんです。「協賛金お願いします」って言いたいですし、欲しいんですけど、継続を求めたときには、なかなか難しい。でも、このシステであれば、直接的な現金負担がなくサポートしていただくだけで十分うれしいです。実際にお話しをしないと理解いただけないので、僕らが直接説明できればいいなって思っているんです。
加藤 練習に関しても、期間限定でビーチバレーのコートを使い、トレーニングとして取り入れているのは、たぶん僕らが初めてですね。
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それと、チーム専属のトレーナー兼栄養士が、効率の良いウォーミングアップの仕方や、食事の摂り方を指導してくれています。疲れない身体の動かし方、ウォーミングアップやクールダウンの仕方とか。たぶんバレーボール界で珍しいですね。例えば、試合開始から逆算して、当日の朝5時起床で、散歩してから朝ご飯を食べるとか全部決められている。そうすると実際に1試合目の1点目から相手と僕らの動きが全然違うんですよ。相手にエンジンがかかってきた頃には、もう手遅れ。後半になっても同じです。相手に少し疲れが出てきているときも、僕らのパフォーマンスは落ちない。食べた物はすぐにはパワーにならないんですよ。だから、逆算して、朝5時に食事をするんです。
白石 アスリートの食事と、いわゆる一般の健康的な食事は明らかに違います。朝から食物繊維を摂ると消化に時間がかかるので野菜もダメです。できるだけ早くエネルギーにするためには、白飯をたくさん食べなくてはならないのです。幸い、北海道のお米とてもおいしいのでたくさん食べられます。
一同 笑
池田 練習が終わった後も、筋肉がボロボロの状態で、栄養を欲しているのにリカバリーが遅れたら、次の日に影響が出ますので運動直後に「すぐ食べろー」って言われています。ここまで徹底して実践しているバレーボールチームはないんじゃないでしょうか?
池田 まだ言えないな。
一同 笑
池田 ビッグネームと交渉中です。6~7月ぐらい、8月のお披露目の前ぐらいには…。
専用の練習場は決まっていますか?
池田 鷹栖町とパートナーシップを結ぶ予定です。町の総合体育館を週2回、練習場として無償提供していただくことが決まりました。あとは旭川大学の体育館を週1回お借りして計週3回は確保しています。8月にイベントがあるので、それに向けてゴールデンウィーク明けから徐々に練習は始めます。8月を過ぎたら、またちょっと休んで、今度は11月のリーグ戦へ向けての練習がスタートします。
加藤 準加盟の正式な通知が7月1日(土)にはVリーグから届くので、そこからはヴォレアス北海道として試合に出場していきます。
池田 先ほどもチラッと言いましたが、8月5日(土)、ちょうど旭川まつりの日に旭川市総合体育館にて、お昼からヴォレアス北海道のお披露目イベントを予定しています。お酒も解禁して、エキシビジヨンマッチだけでなく、ショーアップされた楽しくてかっこいいイベントにしていきますので、みなさん是非とも来てください!
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