まずは「担々麺とは何ぞや」から
読者様それぞれにイメージがおありと思うので、一応整理させて頂きます。
その発祥は中国は四川料理のひとつ。名前の由来はてんびん棒を担いで売り歩いたことにあるそうな。
日本では、すり胡麻の効いたスープにラー油や花椒を加えたピリ辛仕立てのおつゆ、トッピングの定番は豚肉そぼろにちんげん菜というのがお馴染みのスタイルだ(店によってバリエーションがある)。
食べ方としては、ラーメンと同じように中華麺をたっぷりなおつゆに浸して食べるのが一般的だが、店によっては、茹で上げ麺にそぼろ肉やネギを添え、ごまだれ、ラー油、花椒で食べる、まぜそば風の「汁なし坦々麺」というスタイルもある。
実は、この汁なしスタイルこそが四川料理における坦々麺。たっぷりのおつゆで食べるラーメンスタイルは日本で考えられた独自のものとされている。
また、元来辛い味わいであるが、まったく辛くない坦々麺を出す店もある。
スタンダードな美味しさ 【えぞふくろう】
店があるのはイオン旭川駅前フードコート。
ランチ時などはいつも客が並んでいる人気のラーメン店だ。
※館内風景は撮影禁止のはずなので店舗外観は割愛させて頂く
担々麺(860円)
勝手ながら、筆者の言う担々麺の基本スタイルに、かなり近いのがこれだ。
メンマがのっかってるのは、同店がこれをラーメンと位置付けているこだわりと思うが、その点はあまり気にしていない。
ラー油が浮かぶおつゆ、豚肉そぼろに細切りネギ、そして青梗菜。
メンマ同様、ラーメンと思い刻みネギも盛ってあるが、この際これも気にしない(笑)
麺にまみれる豚そぼろ。これにラー油が絡むところに担々麺の醍醐味がある。
おつゆの旨味は申し分なし。ラー油のピリ辛感はあるものの、担々麵にお約束の花椒特有の痺れ辛い感じはかなり控えめ。この点、多くの人の口に合うように考えられているものとお見受けする。
青梗菜もシャキシャキしていて、しっかりと存在感を発揮している。
ところで、これ、半分に切ってくれていたら食べやすいのになあと、いつも思うのは筆者だけだろうか。
同店の担々麺にはモヤシも。
メンマも然り、ここまでくると野菜ラーメンというスタイルも否めないが、親しみやすさがあるのでそれも悪くはない。
ともかくは、総じて美味しい、食べやすい坦々麺なのだった。
お店情報
店名:らーめん えぞふくろう
住所:旭川市宮下通7丁目イオン旭川駅前フードコート
電話:0166-24-0323
営業時間:9:00~21:00
定休日:不定
駐車場:あり
きりりとシンプルな辛さ 【熊ッ子本店】
以前、asatanで「中華がのっかったラーメン」を特集したとき、同店の「チンジャオロースー麺」を取り上げた。
そして今般の担々麺であるが、同店のメニューはいつも筆者の期待を裏切らないバラエティーがあり、何やら頼り甲斐がある。
担々麵(850円)
おおっ!真っ赤じゃないか!!
前書きで、担々麺のスタイルは店によってバリエーションがあるとしたが、前掲「えぞふくろう」のそれと比べれば一目瞭然。雰囲気はまったく違うが、これが坦々麺食べ比べの面白いところ。
褐色のおつゆを覆い隠すたっぷりの「ラー油」。一応、油と名がつくだけに、口当たりはまったりとしていそうだが、不思議とそんな感じはない。
おつゆは、ごま感控えめですっきり。ラー油のやや酸味を感じつつ、もちろんピリ辛。だが、ベースのスープが優しく穏やかな味わいなので、思いのほか口にスムーズ。しかし、不用意にすすり込むと、ラー油の辛味が喉にまみれて咳込んでしまうこともあるので、一応慎重に。
それにしても、いつもながらレンゲがでかい(笑)
具は定番の青梗菜。として細切りのネギ。
豚は、そぼろでなく歯応えの良いスライス肉というのが、熊ッ子スタイルだ。そぼろじゃないという辺り、あくまでシンプルな口当たりにこだわっているというところか。
ちなみに、青梗菜は真ん中から二つに切ってあり(思いが通じたか?)、食べやすく及第点。
これなら舞妓さんのおちょぼ口でも大丈夫だね(いや、それはないだろ)。
具材がシンプルなので、食べ進むとご覧の通り。
残り汁までスッキリしている。かつ真っ赤なままで、永遠にピリ辛は続くのだった。
お店情報
店名:旭川ラーメン熊ッ子チェーン本店
住所:旭川市大雪通7丁目
電話:0166-24-0696
営業時間:11:00~20:00
定休日:不定休
駐車場:あり
えび感こってり 【麺屋くるる】
個性ある味わいと完成度の高さで、筆者を魅了する同店。
有難くも、坦々麵には他店より思い入れがあるとお見受けする。
何しろ3種類。好みで選べる坦々麺というのは、あまりお目にかかったことがない。
ということで、今回は何げにオススメっぽい(表示か大きいので)海老担々麺をご紹介。
海老薫る混ぜそば風というキャッチコピーからして食欲をそそる。
照明の影響か、メニューの写真と色の雰囲気が違って見えることをご容赦願いたい。
ともかくは、前掲2店の担々麺とはこれまた全く違うものの登場だ。ほんと、作り手によっていかようにも変幻自在な料理だこと。
具材の数々。
左側、青ネギにのってるのがエビの粉だそうで、上がこの店お馴染みのキャベツ。そして天かすとはまた、極めて非凡。
もう、どうにもこうにも魅惑の光景。旨さのカオス、なのである。
おつゆは花椒が程よく聞いた、これぞ四川風。
辛さはどう表現すればいいものか。普段から辛味噌ラーメンを好むお方には、ちょい辛~中辛レベルに感じられようか。辛いのが苦手というお方なら「からっ!」なレベル。
ともかくは、具の混沌とした中からすくいあげて食べる麺は格別。麺がいろんな香りを引き立てるんだな。
ちょっと湯気が写ってしまったが、同店のラーメンはいつもあつあつ。しっかりあつあつ。湯気をよけて撮るのけっこう大変(笑)。
ラーメンだから当たり前だろって言われるかもしれないが、あったかいけどあつあつじゃないラーメンを出す店がたまにあるんだよね。
熱いものは熱く出すべしのご店主。その姿勢はご立派。
で、この担々麺を食べるときには、たまにレンゲで底の方を軽く混ぜることをお勧めしたい。
初めは見えていなかった肉やら海老やらが沈んでますから。行儀よく上からばかり箸をつけて食べ進むと、後半はエビと肉ばかりを食べることに(笑)。
といっても、スープの旨さが後を引く、というか、先を急げとばかりに脅迫してくるんだな。具のバランスがどうのうこうのと言ってる場合じゃない、という場合もある。
上画像は、器をかしげて最後の最後まで飲み干してしまう、の図。
この段階で、のど元やお腹の中にエビの余韻が溢れまくっている。
食べ始めよりも強く深く、ああ、エビの担々麺を食べたんだなと、その満足感もおつゆ同様に濃厚なのだった。
美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。
・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター