ところで、背脂とは
ブタの、肩から腰の背中側にあるロースと呼ばれる部位の、上にあるのが背脂。いわゆる脂そのものであって、よく耳にするラードとは異なる。ラードはブタの脂肪を精製した油のことだ。
他の部位に比べ融点が低いから常温でもプルプル。だから液体とも馴染みやすいので、スープの味わいを高めるのに利用されているようだ。
また、とろけるようなまろやかさがありながら後味はすっきり、という特徴があるとされている。
ちなみに、ニンニクとの相性も良いそうな。
工房加藤らーめん 神楽本店
同店は背脂のことを「こく旨」とネーミング。メニュー表では、独自の調理法で余計な脂分を取りまろやかに仕上げたと、その美味しさを大きくアピールしている。
かつ、トッピングメニューのひとつとしての扱いに留まらず、こく旨(背脂)を冠したメニューをラインナップするなど、かなりの背脂推しであることが見て取れる。
そのひとつが下の一杯。
こく旨熟成正油ラーメン(970円)
おおっ、おつゆを覆い尽くす何たる背脂っぷり。
ちなみに、こく旨(背脂)は、みそ味、塩味すべてのラーメンで追加が可能だ。
わぁ〜脂っこそう。
見た目にそう思った方は多いと思う。
が、そうじゃないんだな。見た目に反してさらりとしている、それが背脂だ。
背脂効果で、まろやかな醤油の香味が自慢の「熟成正油ラーメン」が、いっそうまろやかに。
決してギトギトなんかしていない。この脂は旨味そのものだ。
おかげで麺の旨さも引き立って、どんどんお腹に収まっていく。
ラーメンを美味しくするこの趣向、たんと堪能させていただいた。
お店情報
店名:工房加藤らーめん 神楽本店
所在地:旭川市神楽4条10丁目5-9
電話:0166-61-7778
営業時間:11:00~19:30
定休日:水曜日
駐車場:あり
中華そば 富いち
同店は、従来よりトッピングメニューに背脂(50円)がある。
が、新メニュー「シン醤油」に関しては背脂無料提供となっている。背脂足しがおススメなんだろか。
ならば「背脂もお願い」と。
無料という文字にも弱い筆者でもある(笑)
シン醤油(800円)
次から次へと新しい技を繰り出す富いち。
この冬の新作は、煮干しの和風だし×鶏白湯のWスープだ。これをまろやかと言わずに何と言う。
ぷかぷか、というよりは、ふわふわとおつゆに浮かぶ背脂。
白湯がいっそうまろやかになっているだろうことは、十分に想像できる。
おおっ、おつゆがコク旨だ。
煮干しのおかげもあろうが、まろやかさにちょっとクセあり(いい意味でね)な旨味がじわっとしみる。
ちなみに、筆者は同店の煮干し出汁をとても気に入っている。
背脂だけを食べてみてもそれは無味に近いが、おつゆとともに口に馴染ませてみれば、美味しい化学反応が始まる。
ううむ、背脂っていい仕事してる。
何度も言いますがね、背脂が混じって見た目はこってりなのに、全然そうじゃない。
さらりとしていながら、でも、伝わる力強さ。これぞ脂の生命力?なんだろか。
お店情報
店名:中華そば 富いち
住所:旭川市新富2条1丁目14-15
電話番号:0166-76-6114
営業時間:11:00~21:00
定休日:火曜
駐車場:あり
天竺
「背脂らーめん」、「背脂辛うまらーめん」と背脂を冠したラインナップがある、メニューを見る限りかなりの背脂推しとお見受け致す。
背脂辛うまラーメン・味噌(1,000円)
うーん、つい「辛うま」に手を出した、どうにも辛いラーメンに惹かれる筆者(笑)。
でも、辛みそに背脂は対抗できるのか。
白味噌ベースか、淡い色合いに一見淡白な感じもするが、味噌の味がきゅっと濃い。
これに背脂が溶け合い豊かな美味を作り出している、という具合だ。
背脂は、改めて画像を見てみれば、前掲2軒より細かく刻んであるような気がする。
これが味わいにどう作用するかは分かりませんが。
背脂溶け出したおつゆは、その旨味を潤滑油にしたかのように具とも絡み、また、しっとり食感のストレート麺の味わいを高めてくれている。
ともかくは、まずベースのおつゆがしっかり旨いんだもの。あるいは、背脂足せばより旨くなるというポテンシャル込みでこしらえたおつゆなのか、この豊かな味わいには合点がいく。
お店情報
店名:天竺(てんじく)
住所:旭川市東鷹栖3条3丁目
電話:080-9619-2959
営業時間:11:00~15:00 / 17:00~20:00
定休日:水曜
駐車場:あり
背脂な後記
いかがでしたか。
こうして並べてみて記憶を呼び戻してみれば、さすがに頭の中は「脂」っぽくもなるが(笑)、でも、脂っこいということはなく、溶けるようにさらりとしているのが上質な背脂なんだそうな。
ラーメン好きのあなた、時には、まろやかなコクを増し増しで。
そんなオプションはいかがですか。
美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。
・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター