全国的に整備が進む自転車レーンには実は種類がある
出典:sakura
旭川市に限らず全国で整備が進む自転車専用レーン。といっても実は種類があります。
大きく分けると道路標識、区画線及び道路標示に関する命令に規定された「法定」に分類されるものと「法定外」の2つです。
旭川市をはじめ北海道で整備されているのは法定外の「車道混在(矢羽根型路面標示)」といわれるものです。
旭川自転車ネットワークより
まず「自転車道」とは構造的に分離された道路で縁石やガードレールで分離されもっとも安全なレーンです。
「自転車専用通行帯」とは縁石やガードレールがないもののブルーのペイントに自転車専用と書かれて視覚的に自転車専用であることがわかるようになっているます。
これら2つは標識なども付けられかなり本格的です。道交法的にも自転車道や自転車専用通行帯がある場合はここしか通行できず歩道は絶対に走れません(※押し歩きは歩行者扱いなので除く)。
そして自動車はもちろん原動機付自転車もこの専用レーンを走ることはできず本当の意味での自転車専用道路です。
一方で旭川市で整備中の車道混在型の「矢羽根型路面標示(以下、矢羽レーン)」はこの2つに該当しない(道交法に関係のない)路面標示です。
これがある道路では必ずしも車道を絶対に走らないといけない意味ではないです。
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あくまで「自転車は原則車道の左側を走る」ことを道路上に表示したにすぎず、車道を走りたい人はラインに沿って車道左端を。
従来どおり歩道を走る場合は歩行者に気をつけて車道寄り徐行といった意味になります。
なお、本来であれば矢羽型以外の自転車レーンが望ましいのですが市内でこれを整備するとなると莫大な予算を必用とします。
また、北海道の場合冬期に積雪があり、自転車専用レーンとしてしまうと自転車以外は走れなくなるので冬期の道路の有効活用ができない点から札幌市が先行して矢羽型を整備しています。
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市内では高校生の通学利用が多い道路を中心に整備が進んでいます。
道路によっては矢羽レーンがあるところの道幅が狭く、また交通量が多く大型トラックの走る道路もあるため車道が危険と感じル場合もあると思います。
こういった場合は徐行が条件ですが歩道を走ることも可能です。
旭川市で車道混在(矢羽根堅路面標示)型の自転車レーンが整備されるワケ
旭川市に限らず、全国的に自転車専用レーンや自転車矢羽レーンの整備が増えています。
これは国土交通省と警視庁が平成24年11月に示した「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」によるものです。
この中で道路管理者や都道府県警察による自転車通行空間の整備、通行ルールの徹底等に向けた政策が推進されています。
その後平成29年5月には「自転車活用推進法」が施行されました。
ここで国・自治体等の責務・基本方針などとして自転車の活用を総合的・計画的に推進していくことが示されました。
この中の基本方針14項目の中でも自治体として「自転車専用道路等の整備」が求められています。
旭川市は北海道の地域の中でも自転車を利用する割合(自転車分担率)がかなり高く、平成22年度のデータでは札幌市を抜き第1位となっています。
旭川自転車ネットワークより
分担率が高いということは事故もおこりやすく、市内においては平成26年度中の自転車関連事故が156件発生しています。
年間の推移を見ると自転車関連以外は減少傾向にあるのに対し、自転車関連を全体の比率で見ると横ばいか増加傾向にあります。
これは「曖昧な走行空間」や「自転車は車両の仲間である認識の欠如」が自転車のルール違反や道路利用者間での自転車通行ルールの相違などにづながっています。
結果的に歩行者、自転車、自動車など道路を利用するすべての人の間で安全上の問題となっています。
旭川自転車ネットワークより
このような背景から他の自治体を同じように、安全で快適な自転車利用環境づくりをすすめる目的として「旭川市自転車ネットワーク計画」が平成28年3月に策定されました。
その中の一環として自転車矢羽レーンが整備されています。
自転車矢羽レーンの走り方
走り方といっても特に難しいことはなく、車道の左端をラインに沿って走るだけです。
軽車両である自転車は「車道は左側を通行」となっていますので、これと全く同じです。
向きは自動車と同じ進行方向で矢印方向と反対に走ると逆走となり非常に危険です。
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信号機や一時停止のあるところでは車と同じく停止線で停止します。
自転車矢羽レーンがあることろでは停止線の一歩先にブルーの停止線がペイントされているので、ここでもOKです。
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交差点で左折時に横断歩道がある場合は歩行者や他の自転車に注意して進みます。右折は車のように自転車は曲がれないので2段階右折となります(右折レーンに入って曲がるのは御法度)。
そのまま曲がりたい交差点をまっすぐ進み、曲がりたい方向に向きを変えて対面する信号が青になったら再度発進します。
出典:札幌市建設局
車道上での2段階右折が苦手なら一旦歩道に上がって交差点を渡るのもいいかもしれません。
交差点を過ぎて再度車道を走るときは後ろからくる車をよく見て急に飛び出さないように注意してください。
左端に駐車車両がいて避ける場合は右後方を確認し、安全なタイミングで追い越してください(急に右側に飛び出さないように)。
追い越せないと思ったときは駐車車両のすぐ後ろで一旦待機し、タイミングをはかるのも手です。
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道路によっては車道の左端のにペイントされている場合と、このように路肩が広く路肩にペイントされている場合もあります。
特に国道は交通量が多く大型車両も多いので、その時の交通量や時間帯などで安全と思う方(歩道or車道)で走ってください。
特にスポーツタイプ(ロードバイクorクロスバイク等)で車道を走る際はスピードが出やすく、万が一も考えできるだけヘルメットを被ることをおすすめします。
出典:警視庁 自転車ナビマーク・自転車ナビライン
なお、矢羽レーンのある無しに関わらず例外的に次に該当する人は無条件で歩道を走れます
1.歩道に自転車の「歩道通行可」の標識がある場合
2.運転者が13歳未満、もしくは70歳以上の物又は車道通行に支障がある身体障害がある者である場合
3.道路状況から安全のために歩道通行がやむを得ないとき
なので特に「13歳未満の子供」、「70歳以上の方」、「障害がある人」は無理して矢羽レーンを走る必用はないです。
(※ただし歩道走行は例外なので徐行や歩行者の通行を妨げるときは一時停止が条件)
それ以外の人でも自転車歩道通行可の標識があったり、この標識がない場合でも車道走行が困難(例えば通勤時で交通量が激しくかつ車道の狭い道路等)であれば例外走行ですが歩道走行も可能です。
ただしいずれにしても歩道を走るときは徐行が絶対条件です。
たまに高校生あたりがクロスバイクで歩道を爆走している姿を見かけますが、歩道の切れ目で対面する交差点の死角から出てきた車、歩道を歩く歩行者と事故になる可能性が高いので非常に危険です。
矢羽型レーンを整備する意義
自転車は車の仲間であり本来は車道を走る乗り物です。
しかしながら長年の国の道路政策により自転車は歩道を走ることが当たり前となりいつしか歩行者の仲間として誤認識されるようになりました。
これにより自転車は交通ルールを守らなかったりその意識が軽薄していたりと事故を起こす原因となっています。
自転車矢羽レーンは自転車が本来走るべき場所を視覚的に表示することで、実際に矢羽レーンを利用しなくとも自転車利用者に「自転車=原則車道」の意識をもたらし車両の仲間であると認識させる効果があります。
歩行者の延長ではなく車の仲間と認識してもらうことで交通ルールの厳守等の効果が期待できます。
また、車のドライバーや歩行者にも車の仲間と認識してもらうことで、社会全体で浸透してしまった「自転車=歩行者の延長」という考え方を正す効果があります。
ドライバーへのお願い
自転車矢羽レーンが整備され、そこをルール通りに走行する自転車にとって無理な追い越しや幅寄せをする自動車は恐怖そのものです。
車道を走る自転車に対しては思いやりのある運転をお願いします。
以下に矢羽レーン整備で先行する京都市のマナーアップ動画を紹介します。
旭川生まれ、旭川市在中の自転車大好き人間。初心者にはサイクリングが好きになるように。中~上級者には有益かつ満足してもらえるようなサイクリング関連の記事を書いていこうと思います。