なめこを添えて ~ 井奈屋
まずはスタンダードに。いわゆる「なめこおろし」ですな。多くのそば屋がこれを出す、いわばそば屋の定番。
居酒屋でも酒のアテとしてもお馴染みだが、このメニューが、そば屋のルーツは呑み屋だった説を裏付ける。
おろしなめこそば(600円)
おっと、井奈屋さんでは、なめこおろしと言わずに「おろしなめこ」なのね。
この呼び名は、なめこvsおろし、どっちが偉いのか。これは両者の名誉に関わる・・・あ、それはさておき、同店はこれをそば猪口に入れ、タレをかけてそばをすするスタイル。
麺の器が鉢になっているので、なめこおろしを、じゃなかった、おろしなめこを麺の上に置き、そこにそばつゆをかけてぶっかけにする、というものアリ。
麺はしゃきっとした更科。これにさらさらのおろしと、なめこのとろみがからんで喉越しが快感。
何しろ、甘辛なそばつゆの塩梅がおろしなめこにも合うんだな。あと引く旨さに、さらりと完食。
通常メニューに載っているのは「おろしなめこそば」のみ。壁のポスターには「エビ天おろしそば(750円)」、「梅しそおろしそば(650円)」がある。季節限定か。
お店情報
店名:そば処 伊奈屋
住所:旭川市7条通8丁目
電話:0166-25-7807
営業時間:11:00~20:00
定休日:日曜日
駐車場:なし
たぬきを鬼が迎え撃つ ~ 蕎麦雪屋
何のことだろうと思ったでしょ。
たぬきは「天かす」のこと。鬼は「鬼おろし」のことである。
まずは、鬼おろしをご存知か。「オニおいしぃ~」とか新語として使われる「すごい」の意味ではない。鬼おろしはひき肉で言うなら粗挽き。すりおろすというより砕くような感じだ。
そのための専用の道具は歯がギザギザで、まるで鬼の歯のようだということから、そう呼ばれるように。
上の画像は、右が天かす。ちょっと見づらいけれど、左が大根。普通の大根おろしのようなペースト状でないことはお分かりいただけるかと思う。これが鬼おろし。
鬼おろしたぬきそば(900円)
これまた、鬼おろしがメインなのか、たぬきが主役なのか。
鬼とたぬきがケンカしそうであるが、この両者が仲良くなると得も言われぬ味わいになる。
鬼おろしは、ざくざくとしていて、みずみずしさが鮮烈。この、いわゆるフツーじゃない口当たりと風味に、天かすの甘い風味がベストマッチ。
絵で見るとバラバラだが、これが溶け合うように、鬼がたぬきを、たぬきが鬼を、互いの旨さを引き立てる相性の良さには感心するばかり。さすがオーナーは日本料理で腕を鳴らすお方。
お店情報
店名:蕎麦雪屋
住所:旭川市3条通7丁目
電話番号:0166-23-0011
営業時間:11:30~14:00 / 17:00~翌2:00(金・土・祝前日翌2:30)
定休日:日曜・祝日
駐車場:なし
梅がダブルで酸っぱ! ~ 吉兆庵
大根おろしの上に梅干し。よく見ると梅干しの下には練り梅がたっぷりと!
塩分を控えているお方には目の毒かも、ですな。
しかしだ。もう思い出しただけで、口の中が唾液満タンな筆者なのである。
梅おろしそば(880円)
日の丸を思わせる大根おろしと梅干。周りにふわりと散りばめられた大葉が美しい。
なんて、悠長なことを言ってる場合ではない、何という梅っぷり(笑)
この梅ボルテージ、初めは冗談かと思いましたよ。
あ、ひょっとして減塩とかはちみつ梅とか、口当たりは優しいのかなと思ったりも。
いや、梅たちは本気である。酸っぱい!
第1弾でも「梅おろし」を取り上げたが、梅感でいうなら旭川で一番ではないだろうか。
が、筆者は梅干しが好物で、この濃厚な梅の香味が、もう病みつきなのである。刻んだ大葉も手伝って、このおろしそば、さっぱりというか、味わいかなり濃い目である。
そうか、筆者は理解した。これはおろしそばじゃない、梅そばだ。大根おろしはあくまで脇役だ。
という実感をお伝えし、ともかくはオススメ。特に暑い日は生き返る旨さを堪能できることだろう。
それにしても、ここまで書くのに、何度唾液を飲み込んだことか(笑)
お店情報
店名:そば処一麦吉兆庵
住所:旭川市流通団地二条1丁目
電話番号:0166-47-4114
営業時間:[月~土]11:00~15:00 / 17:00~20:00
[日、祝]11:00~15:30
定休日:不定休
駐車場:あり
食べ比べ後記
さて、今回の3店だけでも、おろしそばって色々あるんだなと、ご実感頂けたかと思います。
まさに、おろしそばの美味しさは多彩。アナタも好みを見つけにお出かけになってはいかがでしょうか。
筆者はといえば、今もおろしそばにハマり中。第3弾も近い・・・?
美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。
・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター