令和3年度 「市政方針」
■はじめに
新型コロナウイルス感染症の流行により、日常生活や経済活動に大きな制約を受け、飲食業や宿泊業などを中心に、企業の経営環境は厳しさを増していることから、8次に及ぶ緊急対策に反映させるため、緊急まちづくり対話集会などを通じて、様々なご意見を伺ってきました。
対話を通じて、市民の皆様の切実な思いに触れ、誰もが希望を抱き、未来の可能性を信じることができる社会を実現しなければならないと強く感じたところです。
本市には、米の収穫量や北海道が認証するクリーン農産物の認証数が全道一を誇る農業、ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟が認定され、企業経営や市民生活への波及が期待できるデザインの他、北海道の先住民族であるアイヌの方々に関する史跡や史料が数多く残されているといった特色があります。
コロナに打ち勝つことなくして、日常を取り戻すことはできません。本市が大きな飛躍を遂げられるよう、強みや魅力、資源を生かし、まちづくりを着実に進めます。
■令和3年度 市政運営の基本的な考え方
新型コロナウイルス感染症を収束させ、日常を取り戻すため、市民の皆様の命と健康を守ることを最優先に、社会経済活動との両立に取り組んでいきます。また、第8次総合計画の重点テーマ「こども」「しごと」「地域」に関する施策の他、環境、文化など、誰もがいきいきと暮らせるための施策を推進し、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも地域として貢献していきます。
コロナ危機から日常を取り戻す
新型コロナウイルスの感染防止対策に取り組み、市民生活や経済など、それぞれの視点で必要な対策を速やかに打ち出していく他、市立旭川病院に感染症センターを設置します。
また、変容した社会に対応したビジネスモデル創出やテレワーク導入など、企業の経営安定化を支援するとともに、国内需要を中心とした観光客誘致に取り組みます。
こども 生き生き 未来づくり
児童虐待については、防止対策の基本方針を策定するとともに、相談支援体制の強化に取り組みます。
市立の児童相談所については、市民に身近な自治体として、児童虐待をはじめとする子供と家庭を取り巻く問題に対し、一貫した切れ目のない支援を行う必要があるため、設置を目指し検討を進めます。
また、待機児童ゼロの継続に向けた人材確保など、子育て環境の充実を図ります。
旭川大学をベースとした公立大学の設置については、市内の若者をとどめるだけでなく、多くの若者が集まり、学びの機会を確保するとともに、地域で必要とされる人材育成や大学の教育研究資源を活用した連携など、地域の活性化も期待できる、未来のまちづくりのために重要な取組みであることから、開学に向けた準備を進めていきます。
しごと 活き活き 賑わいづくり
農業については、土作りへの支援や新規就農者の確保に取り組む他、農産物の付加価値向上を支援します。
産業については、デザイン都市としての優位性を生かし、地域産業や生活へのデザインの波及を進めます。
観光については、自然やアイヌ文化、食など多様な資源を生かすとともに、周辺町とも連携し、道内客や国内客の回復に取り組みます。
地域 いきいき 温もりづくり
住民同士の支え合いによる除雪体制づくりに取り組む地区を拡大する他、幅広い住民の参画により地域全体で子供の学びや成長を支える取組みを進めます。
誰もがいきいきと暮らせるまちづくり
缶・瓶等の中間処理施設の整備を進める他、アイヌの方々が取り組む活動を支援するための基金の創設や、科学館の常設展示の一部リニューアルに取り組みます。
主な施策
■コロナ危機から日常を取り戻す
新型コロナウイルス感染症の対策と普及啓発
感染拡大防止のため、医療機関と連携して感染症への対応を行う他、感染予防の普及啓発等を実施
テレワーク普及促進に関する助成金を創設
テレワークの導入やテレワークを活用した雇用創出に対する助成を実施
デジタル化に取り組む中小企業を支援
コロナ禍によるビジネス環境の変化に対応するため、中小企業を対象にIT活用の研修等を実施
新たなビジネスモデル創出を支援
コロナ禍で変容した社会に対応するため、新たなビジネスモデルを創出する事業者を支援
修学旅行等での市内宿泊者にクーポン券を配布
修学旅行や合宿による宿泊者に、飲食店等で利用できるクーポン券を配布し、市内への宿泊を促進
■こども 生き生き 未来づくり
児童虐待の予防・早期発見に向けた相談支援
関係機関との連携を図り、妊産婦・児童・保護者・家庭の状況に応じて訪問等の相談支援を実施
相談窓口等を記載したカードを配布
児童生徒に相談窓口等を周知するカードを配るなど、児童虐待防止に向けた取組みを実施
虐待防止情報共有システム導入に向けた相談記録の入力
国の虐待防止情報共有システムを導入するため、過去の相談記録、児童記録票の整理を実施
10か月児健診の実施
乳幼児の成長発達を促し、健康の保持増進を図るため、既存の乳幼児健診に10か月児健診を新設
電子母子手帳の導入
新たに成長発達記録機能を備えた電子母子手帳を導入
タブレット端末の円滑な運用と授業への活用
児童生徒1人1台のタブレット端末を授業に活用するなどのGIGAスクール構想を推進
公立大学の設置に向けた準備
旭川大学をベースとした公立大学の設置に向けて、準備に係る体制づくりなどの取組みを推進
■しごと 活き活き 賑わいづくり
デザインに関する取組みの推進
デザインイベントの開催や、デザイナー同士の交流拠点の設置
ICTパークの運営
eスポーツやプログラミング的思考の体験拠点として、ICTパークを運営
適切な肥料の使用について専門指導員等が指導
専門指導員等による土作りに関する巡回指導や相談対応、情報発信を実施
森林や木材利用に関する普及啓発
森林教室の開催や、北森カレッジ等との連携により、森林や木材利用の普及啓発を推進
旭川工業高等専門学校と地域企業の連携促進
同校による地域企業の課題解決に向けた取組みや、人材育成を推進
アイヌ文化を発信するモデルコースの発信
観光資源でもあるアイヌ文化の魅力を伝えるため、モデルコースの情報発信や案内板等の整備を実施
スポーツの関心向上・推進
体育大会の選手派遣に係る補助金の1人当たりの補助額と対象人数の上限を拡充
■地 域 いきいき 温もりづくり
福祉まちづくり条例(仮称)の制定
関係者を交えた懇話会や市民説明会を実施し、地域共生社会の実現を目指すための条例を制定
地域における除雪体制の構築・拡大
高齢者等の住宅前道路除雪について、地域の支え合いによる除雪体制を構築し取り組む地域を拡大
子供の学びや成長を地域全体で支援
地域学校協働本部の設置やコーディネーターの配置により、地域と学校の連携・協働を推進
■誰もがいきいきと暮らせるまちづくり
旭川市リサイクルセンター(仮称)の設計に着手
令和6年度中の供用開始を目指して、新施設の設計に着手
サイパル(科学館)の常設展示を一部リニューアル
3Dプリンタなどを活用したものづくり体験や、デジタル地球儀などを設置
ふるさと納税連続寄附者との交流イベントを実施
連続寄附者を対象とした、交流イベントを首都圏で開催
市制施行100年に向けた記念事業の準備
市制施行100年を迎える令和4年に向けて、実行委員会を設立し、記念式典などの準備を開始
新庁舎への旭川家具の導入を検討
デザイン都市旭川をPRするため、旭川家具の新庁舎への効果的な導入を検討
■むすび
新型コロナウイルス感染症により、不安と緊張が続く1年となった中、市民の皆様や国内外の姉妹友好都市など、多くの方々から様々な支援をいただき、本市がたくさんの人に愛され、支えられていることを実感しました。
昨年は、スポーツや文化の大会中止を余儀なくされ、悔しい思いをされた方が数多くいた中、本市を拠点とするヴォレアス北海道のV1昇格を目指した奮闘や高校生などの全国大会出場など、苦しい中でも懸命に努力する姿に大きな勇気をもらいました。この活躍を支える市民やまちの風土は、旭川の底力として未来への希望となります。先行きが見通しにくく、日々の暮らしは様々な不自由を強いられていますが、新しい旭川に向かって歩みを進めていくため、未来への希望を持ち、閉塞感を打ち破っていかなければなりません。
旭川は、これまでも様々な困難を乗り越え、まちの魅力を高めてきました。平和通買物公園は、安心して買い物が楽しめる空間をつくりたいという思いが国を動かし、日本初の恒久的歩行者専用道路となりました。旭山動物園は、閉園の危機から、先駆的な行動展示を導入し、日本を代表する動物園へと変革を遂げました。いずれも、関係者の情熱や発想、市民の皆様の応援なくしては成し得なかったことです。こうした先人たちの挑戦と努力により、旭川というまちの基盤は力強さを増し、今も多くの人の活躍を支えています。
社会情勢の変化に対応し、本市がさらなる発展を遂げていくためには、誰もが希望を抱き、自分の持てる力を発揮できることが大切です。子供が将来への可能性を見いだし、自ら考えて行動できること、そして、より柔軟な視点や発想で時代をリードしていく未来の旭川に向かって、市民の皆様と一丸となって、まちづくりを進めていく決意です。