公共施設の現状は?
公共施設には、市役所・支所・学校・図書館・市営住宅などの公共建築物の他、道路や橋・上下水道といった日常生活を支える施設があります。今回は、公共施設のうち公共建築物について考えます。
市が所有する公共建築物は672施設あり、延床面積の合計は約119万㎡となっています。床面積の割合では、小・中学校や給食センター等の学校教育系施設が約4割、市営住宅が約3割を占めています。一般的に建物は、建築から30年ほどで劣化が目立ち始め、大規模な改修等が必要になります。現在、市の公共建築物の約6割が建築から30年以上経過しており、その割合は10年後に8割を超える見込みです。
人口減少による影響は?
公共建築物の問題は、老朽化だけではありません。市の人口は、理想的に推移しても2060年には約23万人まで減少、特に15歳から64歳までの世代が大きく減少する見込みです。人口減少や少子高齢化が進むと、公共施設の利用者が少なくなり、施設に対するニーズが変わってくることが考えられます。今後は、人口減少に伴い税収が減る一方で、医療や福祉にかかる経費が増加するなど厳しい財政状況が予想されます。
施設の整備にはいくらお金がかかるの?
平成12(2000)年度と令和元(2019)年度で比べると
●公共施設等の整備に使ったお金(投資的経費)
321億円 → 165億円・・・半減
●子供から高齢者まで福祉サービスに使ったお金(扶助費)
240億円 → 525億円・・・2倍以上
老朽化する施設の改修や建替えには多額の費用が必要ですが、施設の整備に使えるお金は減っています。
直近5年間の施設整備にかかった年間のお金=70億円
↓
(現在の施設をそのまま維持した場合)
↓
今後、施設整備にかかる年間のお金=126億円
公共施設の整備費用の多くは、市債(市の借金)を財源にしているので、将来の世代に大きな負担を残すことになります。
※数字は普通会計の決算額。普通会計は全国の各市町村の決算状況を比較するため、国が定めている統計上の会計。旭川市では、一般会計の他、特別会計の動物園事業・育英事業・母子福祉資金等貸付事業が含まれます。
将来に向けた取組み
平成28年2月に旭川市公共施設等総合管理計画を策定し、施設の保全や再編の取組みを進めています
■施設の「量」を考えよう!
限られた財源の中で公共施設を維持するためには、現在の施設の量を、人口減少に合わせて見直す必要があります。施設の統廃合や複合化、スペースの有効活用などを進め、老朽化した施設の建替えや新規施設の整備を抑制し、適切な施設量となるよう取り組みます。
施設の複合化の事例 西神楽市民交流センター
西神楽地域には、西神楽支所の建物(1階=支所、2階=公民館)と西神楽農業構造改善センターが、道路をはさんで建っていました。支所の老朽化が進んでいたことから、昨年度に農業構造改善センターを増改修し、西神楽市民交流センターとしてリニューアルしました。施設を複合化した結果、延床面積が約900㎡減少しました。
■施設の「安心・安全」を考えよう!
これまでのように、壊れてから直す対応では、自然災害などで被害が大きくなり、思わぬ事故につながる危険性があります。計画的に施設を改修し、管理していくことで、市民の皆さんが安心・安全に公共施設を利用できるように努めます。
■施設の「お金」を考えよう!
人口減少を見据えて、施設の維持管理にかかる経費を減らしていくことが必要です。今後も使い続ける施設は、機能やサービスの集約や効果的・効率的な運営により維持管理費を抑えます。また、使わなくなった施設は、貸付けや売却などを進め、財源を確保していきます。
売却の事例 旧旭川第一中学校
平成19年3月末に閉校した旭川第一中学校の建物と土地は、民間事業者に売却し、現在は食品加工工場として活用されています。建物と土地を民間事業者に売却した結果、保有延床面積が約2,300㎡減少しました。
旭川市公共施設等総合管理計画改訂版案に対するご意見を募集します
公共施設等を総合的かつ計画的に管理するための計画です
●資料の配布場所=公共施設マネジメント課(総合庁舎6階)、市 政情報コーナー(総合庁舎1階)、各支所・公民館、市ほか
●資料配布・意見の提出期間=11/19㈮~12/20㈪