「ヒグマと共に暮らす未来」を考える場に
夏期開園日の4月29日、旭山動物園に約9年ぶりとなる大型施設「えぞひぐま館」がオープンしました。エゾヒグマの生息環境を再現し、これまでにない工夫が盛りだくさん。引っ越ししたメスの「とんこ」の、野性味あふれる行動を見ることができそうです。エゾヒグマの生活空間に入り込んだかのような展示を楽しめる、えぞひぐま館の見どころを紹介します。
■案内看板
館内の入口や、順路を示す立体的な案内看板は、元飼育員の絵本作家・あべ弘士さんがデザイしました。温かく優しい筆遣いで、来園者をお出迎えします
■あべ弘士さんの壁画
あべ弘士さんが、壁一面に「知床の自然」を表現。エゾヒグマの親子・オオワシ・サケなどが、立体的に描かれており、知床に生息する動物たちを絵で楽しめます
■木々の植栽
北海道の森を再現し、エゾヤマザクラやミズナラなどを植えました。もしかすると、ドングリの木を登るとんこの姿を見ることができるかも?
層雲峡の「柱状節理」に似せた擬岩もあります
■観察窓
おらんうーたん館側の壁にある、出窓タイプの観察窓からエゾヒグマのがっしりした足や大きな爪などを間近で観察できます
■小川(淡水魚の水槽)
ミニ水族館のように、ニジマスなどを飼育。随所で水の流れる音が聞こえます。大きな窓からは、水場でのエゾヒグマの様子が楽しめます
■標識とガードレール
屋外放飼場の外周には、ヒグマが描かれた「動物注意」の標識や、ガードレールがあります。人間と自然の境を象徴し、ヒグマとの距離感を感じさせます
「ヒグマとの距離感」感じて
土いじりや木登り、水浴びなど、ヒグマらしく過ごせる環境を整えることができました。ヒグマは旭山にも生息する身近な存在で、近年では市街地へ出没するようになりました。今、私たちは、素晴らしい自然や動物とどう付き合っていくのかを問われています。えぞひぐま館が、人と動物との関係や距離感を考える場になれば、と思います。エゾシカやタンチョウなど、北海道を象徴する動物の展示エリアの中心にあるので、地元の人に地元の動物を知ってもらいたいです。
旭山動物園園長・坂東 元さん
高密度に生息 知床の今
■生態を知り「自分事」に
知床のエゾヒグマの生息数は世界的にも高密度で、隣人のような距離感です。知床で起きることは、どこにでも起こり得ます。生態を知り、自分事としてうまく付き合うヒントを考えてほしいです
知床財団・山本 幸さん
■知床の映像
新たな展示手法として、屋内の放飼場の背面に巨大なモニターを設置しました。1年を通して、エゾヒグマの生息域である知床の風景の映像が流れます
■知床財団による生態紹介
野生動物の保護管理に取り組む知床財団の協力で、大型の絵巻や、冬眠穴を模した展示物を設置。ヒグマの生態や現状、人との共生に向けた取組みを紹介しています
伝えるのは、命。旭川市 旭山動物園公式ホームページです。