もし高血圧と言われたら
日本には高血圧と診断された方が約4千300万人いますが、その中で、病院にかかっている人は約56%。
自分が高血圧と知りながら放置していることが問題で、正しくコントロールすれば怖い病気ではありません。
まさに「一病息災」の代表的な例です。
出典:こうほう旭川市民「あさひばし」12月号
旭川医科大学教授
長谷部直幸さん
■高血圧って何?
心臓は1日に約10万回も収縮・拡張を繰り返し、血管の壁に圧力を掛けて全身に血液を送り出しています。
この圧力が「血圧」で、圧力が強くなり過ぎた状態が「高血圧」です。
今年新しくなった高血圧の分類と基準は下図のとおりで、正常高値から高値(120〜139/80〜89㎜Hg)以上の方は、高血圧へ移行する危険性が高くなります。
出典:こうほう旭川市民「あさひばし」12月号
■どうして高血圧になるの?
血管の柔軟性が血圧に大きく影響します。柔軟な血管は、弱い圧力で血液を送り出せますが、血管が硬くなり柔軟性が失われると、強い圧力を掛けなければ血液を送り出せません。
不適切な生活習慣や加齢によって柔軟性が失われ、また、傷つきやすくなった血管に血中コレステロールが付着して、血管が狭くなっていくこと(動脈硬化)が原因です。
■どのような危険があるの?
血圧が高い状態が続くと、動脈硬化が進み血管の抵抗が増えます。
そこに、強い圧力を掛けて血液を送り出すため、さらに血圧が上昇します。
高血圧と動脈硬化の状態が続くと、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、脳梗塞(脳の血管が詰まる)、脳出血(脳の血管が破れる)、腎不全等の病気を引き起こすこともあります。
■高血圧を予防するには?
家庭で習慣的に血圧を測り、年に1度は健診を受けましょう。
また、日頃から野菜を中心とした食生活を心掛ける他、適度な運動を生活に取り入れましょう。
特に、旭川市民は塩分を多く摂取しているという調査結果もあるので、減塩を心掛け、高血圧と診断されたら、正しくコントロールすることが大事です。
■旭川市の現状は?
旭川市国保特定健診受診者の4人に1人は高血圧と診断されています。
また、市民全体では、グラフのように虚血性心疾患で亡くなる人の比率が、国・道より高くなっています。
出典:こうほう旭川市民「あさひばし」12月号
特定健診でチェック
健診で異常を早期発見し、早めに対応することが大切です。
また、保健師などが健診結果についてアドバイスをします。年に1度は必ず健診を受けましょう。
【詳細】特定健診については国民健康保険課 25・9841、結果へのアドバイスについては保健指導課 25・6365
イベントでチェック~色々な機会に健康をチェックして自分の体を知りましょう~
■市立旭川病院まつり
医療の知識や技術を知ってもらい、健康づくりのきっかけとなるよう開催
参加者の声
気になっていた血管の硬さを測ってもらいました。
減塩には気を付けているので、夫婦共に血管の硬さはほぼ実年齢で安心しました。
体の状態を知ることが大事だと思い、健診も毎年受けています。
■ローソンde健康チェック
ローソンとの健康づくりの協働事業として開催
参加者の声
店の前で気軽に測定できるのが良かったです。
血管年齢は実年齢より5歳上。実は高血圧なので、薬を飲み、野菜を多く食べています。
妻はほぼ実年齢でした。これからも、健康に気を付けたいです。
出典:こうほう旭川市民「あさひばし」12月号
家庭でチェック~朝晩の血圧測定を習慣に~
家庭では135/85㎜Hg以上が高血圧とされます。
肘よりも上で測るタイプの血圧計を使用しましょう。
◦測定は1日2回
朝(起床後1時間以内・排尿後・朝食および服薬前)と夜(寝る直前)
◦測定前に、1~2分間、座って安静にする
◦2回ずつ測定し、2つの値と共に 日時や測定前の状態(飲酒・入浴など)も記録する
◦低い値があっても、時々高い値が出る場合は、 医師に記録を見せて相談する
出典/日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編
『高血圧治療ガイドライン2019』ライフサイエンス出版
今日からできる減塩の工夫
・麺類の汁は飲み干さない
塩分が多く含まれる麺類の汁を飲む場合は、少量にしましょう
・みそ汁・スープは具だくさんに
野菜やキノコ等をたくさん入れることで、汁の量を減らせます
・みそ汁・スープの回数を減らす
1日3回なら2回に、1日2回なら1回に減らしましょう
・「かける」から「つける」へ
しょうゆやソース等の調味料は、直接かけずに小皿に入れてつけましょう
・風味や香りを活用する
塩分の多いしょうゆ等の代わりに、レモンや酢、香味野菜等を活用しましょう
・だしを効かせる
昆布やかつお節等でしっかりだしをとると、薄味でもおいしいです
減塩レシピ「焼きエリンギと小松菜のレモンマリネ」
エリンギは焼くと、うま味と香りがぐんと高まります
■材料■(1人分)
エリンギ50g、小松菜40g、
A【だし汁大さじ1/2、しょうゆ・砂糖・レモン汁・オリーブ油各小さじ1/2】
◆作り方◆
❶ボウルにAを入れ、混ぜ合わせておく
❷エリンギは縦半分に切り、アルミホイルを敷いた魚焼き器(またはオーブントースター)で軽く焼き色が付くまで焼く(弱火で4~5分)。焼き上がったら割いて長さを半分に切る
❸小松菜はゆでてから冷水に漬けて冷まし、5㎝程に切って水気を絞る
❹②が温かいうちに③と一緒に①に浸して、冷ます
❺汁気を軽く切って器に盛る
※42㎉・タンパク質2.3g・脂質2.3g・カルシウム69mg・鉄1.3mg・食塩相当量0.4g
出典:こうほう旭川市民「あさひばし」12月号
知っていますか 食生活改善推進員
「私達の健康は、私達の手で」を合言葉に活動する食生活改善推進員で構成される、旭川食生活改善協議会。
今年で設立40周年を迎え、減塩料理をはじめ、食生活に関わる講話や調理実習などを開催しています
出典:こうほう旭川市民「あさひばし」12月号
保健師・栄養士による「出前健康講座」
市では、町内会やサークル、企業等に保健師・栄養士が出向く「出前健康講座」を行っています。血圧や血管年齢を測定し、生活習慣病等の予防について話します。
おわりに
放っておくと、重篤な病気を引き起こすこともある高血圧。
高血圧を防ぐためにまずは健診等で自分の健康状態を知り、塩分を控え、野菜を多く食べるなどの食生活を心掛けることが大切です。健康のため、適切な生活習慣を身に付けましょう。
【詳細】保健指導課 26・2397