生命の神秘に感動!!【増毛町】 旭川から行けるサケ遡上ポイント紹介

生命の神秘に感動!!【増毛町】 旭川から行けるサケ遡上ポイント紹介

秋の風物詩としてメディアでよく紹介される鮭の溯上(そじょう)シーン。千歳川や石狩の浜益川、知床などが有名ですが、旭川市から意外に近くでもリアルなサケの生態を観ることができます。行き先は増毛町。暑寒別川を訪ねてみませんか。 ※掲載したサケの画像はすべて昨年以前のものです ※その年の気候、天候等により見学できる時期が変わる場合があります。よって本編は鮭溯上の様子を必ず見られることを確約するものではありません※行政の出す宣言に従い、宣言中の外出等はお控えください。


感動の瞬間を目の当たりに

川に生まれ、北洋を数年に渡って旅をしながら成長をしたサケやマスが、再び生まれ故郷の川に帰ってきます。
しかしそれは、産卵し子孫を残すという命がけの帰郷。残りの命をかけて逆流に立ち向かう姿は、生まれもっての本能とはいえ、まさに神秘的であり、同時に深い感動を覚えます。

時期は9月中旬~10月中旬

増毛町が発信する観光情報によれば、同町にサケが帰ってくるのは9月中旬から10月中旬とされています。筆者も例年、9月の下旬に狙いを定め出かけています。

おすすめのポイントは暑寒別川の河口付近。
増毛町の中心街から車で、国道231号線を雄冬方向に向かえば10分ほどの距離。やがて見えてくる暑寒別橋の下が見学ポイントです。
【注意】サケの遡上が観られるといっても、見学施設として整備されている訳ではないので案内の看板なおよび駐車場と呼べるものはありません。例年、他の見学者の皆さんは、車は橋の裾から川岸に降りたところにある空地に停めているという様子。この点、各自の判断で対応して頂きたいと思います。

「暑寒別川」見学ガイダンス

では、遡上の様子をお見せしましょう。筆者が昨年(その以前も含む)に撮った写真をもとにポイント別に解説しますね。

まず、地形は以下のようになっています。地点ごとの説明はのちほど。

そして、下が暑寒別橋。筆者が立っているのは増毛町市街地側。橋の両サイドから河川敷に降りて行けます。

上の写真は橋から見える暑寒別川の下流(河口付近)。
そして下の写真が、くるりと後ろを向いて見た暑寒別川の上流方向。川にかかる橋のようなものは、サケの捕獲施設です。

A地点

川の出口、サケからすれば川の入り口は、意図的に整備されているようで、ご覧のように狭くなっています。
筆者には理由は分かりませんが(調べが足りなくてすいません)、サケたちはここを目指します。
何より、どうして生まれた川が分かるのか、ほんと不思議です。

上は河口近く。波が来て海面が盛り上がったところです。水の中にサケがいるのが分かりますか。たくさん帰ってきているようです。
川に侵入するため体を休めているのでしょうか(川の真水に身体を慣らしているという説あり)。
この辺りは、もちろん釣りは禁止です。釣り竿や網なんか出そうものなら即パトカーが来ます。

B地点

河口付近は流れてきた水が貯まり、水深はちょっと深そう。かつ、流れは淀んでいます。
上からよく見てみると、鮭がうようよといるのが分かります。旅の疲れを癒すかのようにのんびりとしているように見えたかと思うと、突然、バシャッと跳ね上がるサケも。これから始まる戦いに気が勇んでいるのかな。

以下は、ちょうど橋の下あたりでしょうか。
川は少し浅くなり、サケの姿はよりよく見えます。

C地点

この辺りは、より水深が浅く、石がごろごろとしていて、泳ぐサケにとって、この瀬は難所のようです。
大きく水しぶきを上げながら逆流に逆らい泳いでいく様子は圧巻です。

橋の上から川の様子を見てみると、川の流れは人為的に整備されているようですが、それならここももう少し深くして、サケの泳ぎを楽にしてあげたらいいのに。と思うのはシロウト発想なんでしょうね。

D地点

先ほどの荒々しい瀬と格闘をしてさらに上流にたどり着いたサケ。
でも、よく見ると身体は痛々しいほどに傷ついています。野生の行動とはいえ、それは悲しく切なさしか覚えません。

これは橋でもダムではありません。サケが川を上れないようにし、その隙間を通るサケを捕獲する仕掛けになっています。
もともとはアイヌの人たちが考えたものだとか。アイヌ語では「ウライ」というそうな。

サケはそんな仕掛けとは知らず、これに突進します。

サケたちはさらに力強く逆流を遡ります。
それはもう、信じられないほどのパワーに満ちていて、見ている筆者はくきづけ。
頑張れ!と思わず声が出てしまいます。

しかし、自然とは非情なもので、力尽きてしまう者も少なくありません。

力尽きたサケはカラスの餌食に。
残酷なようですが、これも自然の食物連鎖の一部でしょう。

数羽の群れが1匹のサケを取り囲みますが、獲物に手を付けるのは、まずボス格の1羽だけ。
観察してると、カラスは目玉のウラの脳髄とかが好みなのでしょうか、ボスはくちばしを目玉あたりに突っ込み中身をついばんでいました。

人間も、石狩鍋を囲むと、通な人は目玉のウラとか好きですよね。「身よりこっちが旨いんだ」なんてね。それを思い出します。
カラスってグルメなんだな、とか思っていると、続いて2羽目が頭部の中身をついばみます。意外なことに、身には目もくれません。

3羽目も身寄り、料理に例えるとアラの部分を食べます。
そして、身を残して群れは次のサケを狙いに場所を変えます。他の群れも同じルールのようです。
身は川虫などの餌になるのでしょう。シーズンが終わり頃になると中身が空っぽのミイラのようなサケが川岸にたくさん転がっています。

ウミネコがサケを捕食するのかは分かりませんが、こんなシーンも見かけました。

終わりに

ちょっと悲しい結末になってしまいました。
が、そうした弱肉強食を目の当たりにするのも価値のあることと思い、命の現実にあえてふれてみた次第です。

とはいえ、現場は下のように、命の息吹に満ち満ちています。
一見の価値、大いにあり!
必ずや、何かが心に残ることと思います。秋のドライブコースに加えてみませんか。

この記事のキュレーター

美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。

・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター

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