らーめん 三日月
この店の「塩」はうまい。とんこつをベースにした、店主の思いがカタチになった逸品を、何ならそのまま当特集で紹介してもよいのだが、それを上回るインパクトを放つ「塩」がある。
辛しおらーめん(950円)
それが「辛しおらーめん」だ。
味の決め手は、塩ラーメンにトッピングした「辛みそ」にある。
まずは、辛みその溶けていないピュアな部分を味見。
うんうん、(辣油が散りばめられてるが)豚骨のコクと旨味がたっぷりの、いつものおつゆ。口当たりは穏やかで後を引く旨さ。
そして、辛みそをちょっと味見してみれば、ちょっとおどろき。
辛みそという位だからもちろん辛いが、その辛さがおつゆのコクがいっそう豊かに膨らみ、かつ洗練もしている。同時に、おつゆのコクが辛みその持ち味をすっきりと引き立てるという、とんこつ出汁と辛みその何という相性の良さ。
辛塩ラーメンはこれまでに他店でも頂いたことはあるが、こういったタイプは自身お初。
後引く旨さにレンゲが止まらない。
おっと、夢中になって、おつゆが先になくなりそう(笑)
辛さは、ちょい辛とかピリ辛といったレベルかと。余程に苦手なお方でない限り、難なく味わえそう。
そのおかげで、麺もするする食べ進む。
メニュー表の「辛しおらーめん」の部分には、「こんなの初めて!の声が一番多い」との添え書きが。
筆者も、まんまとそのひとりになった訳だ(笑)
お店情報
店名:らーめん 三日月
住所:旭川市3条通22丁目
電話:0166-35-1510
営業時間:11:00~15:00 / 17:00~20:00
定休日:月曜
駐車場:あり
麺屋 秘蔵
ラーメンを食べ歩く、かつ塩が好みという方々には、もう十分すぎる程に知られていようが、この記事においては、やはりリスペクトせねばならない一杯がある。
それが麺屋秘蔵の「ゆずネギしお」だ。
筆者は、初めて食べたときには衝撃を受け、以来、何度もリピートしている。
ちなみに、この店ではいつも、「こがし味噌」とどっちにしようか死ぬほど悩む筆者でもある(笑)。
ゆずネギしお(1,050円)
まずは、まだ食べたことがない、というお方のためにひと言。
ゆずと言っても、柚子をぎゅ~っと絞った「酸っぱ!!」という味ではない。ということをお断りしておいて、以下、このラーメンの魅力を綴りたい。
ひと口。うーん、いつもながらまろやかなおつゆ。
舌に旨味を残しつつ喉元をすぎると、ほんのりと香るゆず。
筆者の印象としてはそんなストーリーなのだが、ともかくはその柑橘感は、クリーミーな塩のおつゆをいっそう味わい深いものにしている。
添えられた白髪ねぎ、紅生姜といった薬味も味わいの名脇役に。
おつゆはちじれの少ない麺にもよく絡み、旨さをどんどん口に運んでくれる。
白濁したおつゆは、口当たりややまったりとしているのだけれど、穏やかに口に馴染むので、食べ飽きするということがない。
食べ進むうちラーメンは、とろっとしたチャーシューから、ネギや紅生姜など薬味から、溶けだした旨味や香りを伴って、どんどん美味しくなっていく。
上画像は、丼を持ち上げ、おつゆを飲み干す5秒前。
お店情報
店名:麺屋 秘蔵
住所:旭川市8条通7丁目
電話番号:0166-26-4844
営業時間:11:00~20:00
定休日:不定休
駐車場:右隣のすずらんパーキング1時間無料
麺屋あさひ
さて、こちらも「ゆず」を活かした塩ラーメンなのだが、これがまた、前掲のものとは全くタイプが異なる。
ご注目あれ。
淡麗ゆず塩(780円)
輝く黄金色のおつゆ。
また、透明感あるこの塩のおつゆに、これが古くからある旭川の塩ラーメンのスタイルと思う方もいらっしゃるのでは。
ともかく、まずはおつゆをひと口。
おおっ、熱した油がのって、おつゆは熱々だ。
もともと酒の味わいを表現するために使われた「淡麗」という言葉。「さっぱりとしていて癖がないこと」を意味する。
てなことを照らし合わせながら味わってみれば、あ、このおつゆはまさにそんな感じかな。
出汁は濃過ぎず薄過ぎす、その加減はお見事。
なので、出汁が塩の旨味を活かし、あるいは、塩が出汁の香味を引き立てたか、口の中は香ばしく雑味のないコクに満たされる。
味を締めているのは、やはり「ゆず」か。
よく見ると、麺や具の合間に、微細に刻まれたゆずが見え隠れしている。
さらに、このつゆで麺を味わってみれば、なんと・・・
あ、麺がうまい!!
率直な感想だ。麺の味がする。それすなわち素材感、素材味だ。
思うに、おつゆが淡麗だからこそ。これは発見だ。
麺はしこしこと喉越しもよい。
自ずと食べ進むテンポが軽快になる。
終盤には、溶けた海苔やら卵からこぼれた黄身、風味良い麺の余韻が混ざり合って、おつゆは得も言われぬ旨さに。
もう完つゆ必至。
ラーメンって、味わいに起承転結があるよね。だから面白い。
お店情報
店名:麺屋あさひ
住所:北海道旭川市豊岡15条7丁目
電話:0166-76-6074
営業時間:11:00~14:30 / 17:30~20:00
駐車場:あり
うま塩後記
いかがでしたか。
今回紹介した3杯は、どれも昔を知る者にはまるで別次元の旨さ。
作り手の情熱には、ただただ感服するばかり。
普段は醤油派、味噌派というアナタも、たまにいかがだろうか。ラーメンを食べる楽しさが広がること請け合だ。
美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。
・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター