士別市立博物館
Photo:らくださん
士別市の郷土資料館は「士別市立博物館」という名前で、市街地から少し郊外の位置にあります。
とはいえ、それほど遠いワケではなく、JR士別駅からは徒歩で20〜30分くらい。
公共の交通機関だと士別駅からバスも出ていますが、便数がやや少なめですのでご注意ください。
Photo:らくださん
博物館という名称にふさわしく、内部は「歴史」「自然」「文化芸術」とジャンル分けされ、扱うコーナーごとに展示されていますので、見やすく親しみやすい環境になっています。
歴史のコーナーでは、初期の頃の「士別軌道」の馬車軌道が展示されていました。
Photo:らくださん
この馬車軌道の客車には実際乗ることもできます。
館内にはこういった雰囲気で直接展示物に触れる事ができるものが多く用意されていますので、ちょっとワクワクしますよね。
客車側面には当時の写真も展示してあり、パネルの解説を読むと士別軌道の歴史の深さを知る事もできます。
Photo:らくださん
士別市といえば「めん羊」が盛んで有名ですが、その歴史や経緯についても詳しく解説があり、大変興味深く感じました。
現在は、肉質の良い「サウスダウン種」と、どんな風土にも適応できる丈夫な「ノーフォーク種」をかけあわせた、あの顔の黒い「サフォーク」が士別市のイメージキャラクターとしても定着していますが、開拓当初は写真のような「コリデール種」が輸入され飼育されていました。
生産者の皆さんの様々な苦労の積み重ねが現在まで続いていることが実感できますね。
Photo:らくださん
入植初期の頃からの人々の生活の移り変わりが、パネルや模型などで紹介されていますので、ある意味かなりリアルに当時の雰囲気を感じる事ができます。
Photo:らくださん
Photo:らくださん
昔使われていた農具の実物も展示されています。
現在の機械化が進んだ状態からこれらかつての農機具を見ると、当時は本当に大変だったんだろうなぁ〜と先人の苦労を想像してしまいます。
Photo:らくださん
Photo:らくださん
展示物にはコメントとして詳しい説明が加えられているものもあり、読めばナルホドと納得できる内容ですので、楽しみながら学ぶ事ができます。
Photo:らくださん
自然をテーマにしたコーナーでは、地域に関係した生き物達が展示されています。
士別市は天塩川の上流域にありますので、天塩川との関連性も含めた説明もあり、流域の様子がわかりやすく解説されています。
Photo:らくださん
こちらのコーナーでは、クマやシカなどのたくさんの剥製が展示されていて、その点数の多さに圧倒されてしまいます。
種類の多さだけではなく、写真のように見やすいように展示の仕方にも工夫がありますので、見応えがあり勉強にもなります。
Photo:らくださん
Photo:らくださん
また、博物館のすぐ隣にはレトロな外観が特徴的な公会堂展示館(旧士別公会堂)があります。
博物館と通路で繋がっていますので、建物の内部へは博物館側から入る事ができます。
Photo:らくださん
こちらではボクシングの輪島功一さんや女優の和泉雅子さんなど、文化芸術面で士別市にゆかりのある人に関連したのもが展示されています。
Photo:らくださん
屋外展示として復元された「屯田兵屋」も隣接されていて、明治開拓期の雰囲気を感じ取ることができます。
士別市博物館は見どころがたくさんありボリューム満点で、しかも夏期だけではなくほぼ通年で開館されていますので、四季を通じて見に行く事ができることも大きなポイントのひとつでしょう。
施設情報
施設名:士別市博物館
住所:北海道士別市東6条4丁目1番地
電話:0165-22-3320
営業時間:9:30~16:30(4月〜9月) 10:00~16:30(10月〜3月)
休館日:毎週月曜日・火曜日(祝日は開館) 年末年始 1月20日〜2月末の平日(祝日は開館)
入館料:大人(高校生以上)100円 中学生以下無料
士別軌道
Photo:らくださん
さて、士別市立博物館では馬車軌道として紹介されていた士別軌道ですが、長い歴史を経て現在はバス会社として業務が引き継がれ運営されています。
設立が1919年(大正8年)、軌道事業が全線廃止されバス事業に一本化されたのが1939年(昭和34年)ですから、本当に文字通り歴史のある会社で、士別の歴史とともに歩み続け、現在も多くの士別市民に親しまれています。
そんな士別軌道さんですが、実は「あるモノ」を所有していることで有名で、マニアの中にはコレを目当てにわざわざ北海道を訪れる、なんていう人もおられるそうです。
Photo:らくださん 日野K-RC301-P 1982年製
それがコチラの「モノコックバス」です。
モノコックバスは丸みを帯びた外観が特徴的で、1970年代くらいまでは主流として製造されていました。
時代は移り変わり現代では様々な理由によりモノコック構造のバスは作られなくなっており、そのため日本国内において現役で路線バスとして運行されているモノコックバスはほとんど無くなっているようです。
Photo:らくださん
見た目が丸っこくて可愛らしく、レトロな雰囲気が良い味を出していますね。
最近、我らが旭川電気軌道さんが3軸レトロバス「MR430」をレストアされ話題を呼んでいますが、士別軌道さんのモノコックバスは現役の路線バスとして運行されていますので、実際に乗車することができちゃうんですよね。
ただ、車体の老朽化が進んでおり、車体に負担をかけないよう2023年は夏季の土日のみの運行という事ですので、興味があり乗車してみたい方は士別軌道さんに運行状況をお問い合わせ頂ければと思います。
今や全国で4台しか現存していない希少な車体ですので、これからも大切にして頂きたいですね。
会社情報
社名:士別軌道株式会社
住所:北海道士別市西2条6丁目1931番地
電話:0165-23-2723
営業時間:8:30~18:30
定休日:なし
朝日郷土資料室
Photo:らくださん
実は、士別市にはもうひとつ郷土資料館があります。
それが「朝日郷土資料室」です。
朝日町は2005年に士別市に合併されましたが、それまで独立した「町」だったこともあり、別個に郷土資料室が存在しています。
Photo:らくださん
朝日郷土資料室は士別市博物館ほど大きな施設ではありませんが、展示品の多くが朝日町の人々からの寄贈品ということもあり、人々が暮らした「温かさ」に触れれるような感覚になります。
Photo:らくださん
上の写真のように、展示物には使用していた当時の様子や寄贈された方の体験談などがそれぞれパネルに表記されてい流ので、非常にわかりやすく親しみを感じることができます。
展示されている物の背景がパネルによって解説されているのは非常にありがたく、深みと奥行きが感じ取れます。
こういったところが朝日郷土資料室の優れたところだと言えるでしょう。
Photo:らくださん
使用されていた農具類は、古いものから比較的新しいものまで様々な種類のものが展示されており、解説のパネルを通じて時代に沿った格好でどのように使われていたのかを知る事ができます。
Photo:らくださん
その昔、旧朝日町が賑やかだった頃は多くの飲み屋さんが存在していたようで、わざわざ士別から単車に乗って(笑)朝日まで飲みに来た人がいたそうです。
(今だったら完全にアウツですね)
その当時のマッチやタバコ類も展示されていて、そこからも町の繁栄ぶりを知る事ができます。
Photo:らくださん
また、旧朝日町は林業で栄えた地域でもありましたので、林業に関する展示物が本当に数多く展示されています。
個々のパネルに丁寧な解説が施されていますので、当時を様子を感じとる事ができます。
Photo:らくださん 朝日町郷土資料室展示物より
朝日郷土資料室では地域の歴史を伝承する展示物があり、文字としても記録もとっておられます。
岩尾内湖に沈んでしまった当時朝日町第二の集落だった似峡(にさま)地区のことや、その昔あちこちに敷設されていた森林鉄道のことなど、現在進行形で資料の整備を進めておられます。
訪れるたびに新しい発見があるかも知れませんので、是非訪問して頂きたいと思います。
施設情報
施設名:朝日郷土資料室
住所:北海道士別市朝日町中央4038番地 士別市朝日活性化施設まなべーる内
電話:0165-28-2121
開室時間:午前10:00~12:00 午後13:00~16:00
開室日:毎週 月曜日 火曜日 ( 開室日が祭日と重なる場合は翌日開室 )
入室料:無料
Photo:らくださん 朝日町 三望台シャンツェ
あとがき
道の駅「羊のまち 侍・しべつ」が新しくオープンした事で、士別市を再認識するようになった方も多いのではないでしょうか。
旭川からそれほど遠くない士別市ですが、案外知らないことも少なくないと思えます。
サフォークはもちろんですが、美味しい農作物もたくさんありますし、秋にはコスモスも咲く魅力あふれる士別市へ、是非足を運んで頂ければと思います。