旭川市内の”野外彫刻”を巡る旅Part.3【忠別橋編】

旭川市内の”野外彫刻”を巡る旅Part.3【忠別橋編】

【彫刻のまち】とも呼ばれる旭川。市内の街中や公園には約100基もの彫刻が設置されているんだそう。でも、身近であるがゆえに「あまりじっくりと見たことがない」なんて方も少なくないのではないでしょうか? 今回は忠別橋の上に設置されている4つの彫刻をご紹介♪


Part.1・2はコチラをチェック!↓

忠別橋の彫刻たち

中心部と神楽エリアを結ぶ忠別橋。旭川出身の小説家 三浦綾子さんのデビュー作【氷点】に出てくる橋のモデルにもなったんだとか。

この橋の上では、4つの彫刻を見ることができます。

(忠別橋について詳しく知りたい方はこの記事をチェック! ↓)

【わが街探検】旭川の橋の小ネタ&雑学集【橋シリーズ③】 | 旭川のことならasatan

https://asatan.com/articles/126?page=1#outline9

162本もの川が流れ、“川の街”とも呼ばれる旭川。川が多いだけあって、橋の数もたくさん。実は、旭川には大小合わせて約760もの橋があるんです! 今回は普段何気なく渡っている橋の、小ネタや雑学を集めてみました♪

山内壮夫『家族』

出典:asatan

初めに紹介するのは、岩見沢市出身の彫刻家 山内壮夫の作品『家族』。

人物の姿を面や球といった形に、巧みに置き換え【抽象化】。柔らかくなだらかな曲線を描くことで、優しく温かい”家族”というテーマを見事に表現しています。

日の当たり方で表情が大きく変わる作品なので、様々な時間帯・天候に鑑賞してみて。

【作品情報】
『家族』 山内壮夫
1955 ブロンズ 164×72×45
忠別橋上(旭川市宮下通1丁目~神楽2条)

高橋清『人 No.13』

出典:asatan

続いて紹介するのは、第4回中原悌二郎賞を受賞した作品『人 No.13』。

作者の高橋清は学生時代にマヤやアステカなどの古代文明の造形に強く惹かれたことがきっかけで、生涯のうち10年以上をメキシコで過ごしたそう。

マヤ文化やメキシコ美術の研究をするなかで「石は永遠の存在」だと感じた彼は、【石に人間のありかたと祈りを込めた】作品を制作するようになりました。

【人】をテーマにした作品が多いのは、戦争での過酷な経験による死生観を反映しているからだとも考えられます。

人と人との結びつきを感じさせる『人 No.13』。作品の表面が削れていますが、これは展示するようになってから付いた傷だと推測されます。

この傷を含め、「常に変わり続ける不完全な"人"の姿を映し出している作品」とも読み取れ、見る人を感慨深い気持ちにさせてくれます。

【作品情報】
『人 No.13』 高橋清
1973 黒御影石 71×42×32
忠別橋上(旭川市宮下通1丁目~神楽2条)

加藤昭男『月に飛ぶ』

出典:asatan

旭川のみならず、加藤昭男の作品は、北海道から九州まで様々な場所に野外彫刻として設置されています。

作者の生まれ故郷 愛知県の瀬戸には広大な粘土質の山があり、彼はその土と生き物と共に少年時代を過ごしました。

手掛ける作品には人や生き物が数多く描かれていますが、そこには子どもの頃に遊んだ経験が色濃く反映されています。

今回の『月に飛ぶ』に見られるように、加藤さんの作品は人間・生き物がセットで登場することが多く、それぞれが持つ生命のパワーを引き出し、見事に共鳴させているのが特徴です。

【作品情報】
『月に飛ぶ』 加藤昭男
1974 ブロンズ 87×143×83
忠別橋上(旭川市宮下通1丁目~神楽2条)

流政之『かくれた恋』

出典:asatan

最後に紹介するのは、世界的に有名な彫刻家 流政之さんの作品。

流さんは刀鍛冶・装丁家・零戦パイロットなど様々な経歴を持つほか、庭園作家・陶芸家・家具デザイナーとしても活躍。"造形"において、独自のスタイルを確立したことでも知られています。

代表作といえば、かつてニューヨークのワールドトレードセンタービル前広場にあった『雲の砦』。零戦に搭乗して見た、空に散った敵味方のパイロットの姿を偲んでの作品だったのだそう。

そんな彼が旭川に残したのは『かくれた恋』という、なんとも可愛らしいネーミングの彫刻。

ハートにも新芽にも見えるこちらの作品は、ツルンとした質感ながら角は少し尖りが。

見る人(の人生経験)によって、温かくも冷たくも感じさせる彫刻と言えるでしょう。

【作品情報】
『かくれた恋』 流政之
1978 黒御影石 96×74×48
忠別橋上(旭川市宮下通1丁目~神楽2条)

おわりに

今回は忠別橋に設置されている4つの彫刻を紹介しました。

市内のあちこちに彫刻が設置されていて、【彫刻のまち】とも呼ばれる旭川。公園や街中など至る所に彫刻がありますから、たまにはじっくりと見てみるのも良いものですよ。

旭川市内の”野外彫刻”を巡る旅【パート4】もお楽しみに♪

この記事のキュレーター

asatan公式アカウントです。
旭川とその周辺地域に関連するイベント、グルメ、観光、くらしに役立つ情報などなど、ドシドシご紹介しますのでお楽しみに!

関連するキーワード


彫刻

関連する投稿


【2月29日~】旭川市民ギャラリーで彫刻展開催

【2月29日~】旭川市民ギャラリーで彫刻展開催

2024年2月29日(木)~3月4日(月)まで、旭川市の旭川市民ギャラリーで開催される『あなたもつながる彫刻展』のご紹介です。


【11月23日】旭川市彫刻美術館でおとな彫刻教室開催

【11月23日】旭川市彫刻美術館でおとな彫刻教室開催

2023年11月23日(木・祝)に旭川市彫刻美術館で開催される『おとな彫刻教室』のご紹介です。


収蔵品展「触覚空間を描く -彫刻家の素描(デッサン)-」

収蔵品展「触覚空間を描く -彫刻家の素描(デッサン)-」

彫刻家の素描は,極めて触覚的であり,描かれた対象の表面の質感や奥行き感を強く感じさせるものとなっています。彫刻家の素描のその様な特徴は,三次元の世界を二次元の中に取り込もうとする画家の素描とは感覚的な相違を伴っており,独自の様相を見せます。 本展では,彫刻美術館が収蔵する彫刻家の平面作品の中から,コンテや鉛筆などを駆使して描かれた彫刻家の触覚的感覚に秀でた素描作品を紹介します。


収蔵品展「触覚空間を描く -彫刻家の素描(デッサン)-」

収蔵品展「触覚空間を描く -彫刻家の素描(デッサン)-」

彫刻家の素描は,極めて触覚的であり,描かれた対象の表面の質感や奥行き感を強く感じさせるものとなっています。彫刻家の素描のその様な特徴は,三次元の世界を二次元の中に取り込もうとする画家の素描とは感覚的な相違を伴っており,独自の様相を見せます。 本展では,彫刻美術館が収蔵する彫刻家の平面作品の中から,コンテや鉛筆などを駆使して描かれた彫刻家の触覚的感覚に秀でた素描作品を紹介します。


企画展「生誕100年 藤川叢三展」

企画展「生誕100年 藤川叢三展」

旭川生まれの彫刻家・藤川叢三(本名・基(もとい))の生誕100年を記念し、その活動を振り返る展覧会を開催します。 本展では、 当館が収蔵している藤川叢三作品の中から、札幌・大通公園に設置されている有島武郎文学碑のための素描や横臥のポーズの連作、リトグラフなど藤川叢三の多彩な仕事を紹介します。


最新の投稿


【旭川市】テレビで紹介される事多数のたれや人気商品を紹介

【旭川市】テレビで紹介される事多数のたれや人気商品を紹介

テレビで紹介された商品って一気に人気になりますよね。今回は何度もテレビで紹介されているたれや、最近テレビで紹介されたおすすめの商品をご紹介します。


愛されるB級グルメ!旭川市のオススメ食堂ごはん

愛されるB級グルメ!旭川市のオススメ食堂ごはん

ラーメンやカツ丼など、地元民に愛されリーズナブルにお腹を満たしてくれるB級グルメ。 旭川市内にある、オススメ食堂ごはんをご紹介します。


肉を食べてスタミナをつけよう!焼肉・すき焼き・ハンバーグ

肉を食べてスタミナをつけよう!焼肉・すき焼き・ハンバーグ

ちょっと疲れているなぁと思った時に食べたくなるのが肉料理。きっとカラダが求めているんでしょうね。今回は、焼肉、すき焼きなど肉のランチをご紹介します。


【11月30日】まちなかぶんか小屋で『追悼 石川郁夫 その人と作品を語る集い』開催

【11月30日】まちなかぶんか小屋で『追悼 石川郁夫 その人と作品を語る集い』開催

2024年11月30日(土)に旭川市のまちなかぶんか小屋で開催される『追悼 石川郁夫 その人と作品を語る集い』のご紹介です。


【11月30日】家族で話していますか?お金のこと【旭川で開催】

【11月30日】家族で話していますか?お金のこと【旭川で開催】

2024年11月30日(土)に旭川友の家で開催される『家事家計講習会 家族で話していますか?お金のこと』のご紹介です。


コープ
旭川を盛り上げよう!キュレーター募集!
カラダ
新店
不動産
本郷美術骨董館'
LINE募集'

人気ランキング


>>総合人気ランキング
a不動産
イズミ
旭川ホテルガイド
旭川を盛り上げよう!キュレーター募集!