塩粕とは
ところで、塩麹はご存知ですよね。麹に塩を加えて発酵させる調味料です。便利で美味しいと、いつぞやブームにもなりましたね。
早い話が、その代わりに塩粕はいかがという提案です。塩こうじ同様、肉や魚を焼く際の下味や、簡単な漬物に重宝すること請け合い。
作り方はカンタン。酒粕を水と塩で溶くだけ。
しかも!出来上がりまでに(発酵に)1~2週間を要する塩こうじに対して、塩粕はすぐに使えるという手軽さも魅力。
まずは酒粕を入手
作るとか何とかの前に、まず材料を買いにいかねばなりませんね。
ということで、酒蔵の直売所へと向かいました。
男 山
筆者が購入したのは「復古酒の搾り酒粕」(400g・500円/税込)。この他「板粕」(500g・500円/税込)の2商品が販売中。どちらも数量限定。今年は生産量が少ないので一人当たりの購入量に上限があるようです。
復古酒は、濃厚甘口な、同社でも人気の純米酒。そう聞いただけで、何やら美味しそうな予感がします。
プラケースに入ってますが、中身はこんな感じ。
スーパーや酒屋でよく見かける酒粕は、もっと平べったくなかったっけ?
と、思った方いらっしゃいますよね。
それは板粕と呼ばれる種類の酒粕で、これとは別なカテゴリーなんです(詳しくは後程)
高砂酒造
購入したのは「大吟醸酒粕」(800g・800円/税別)。
道産の酒造好適米「彗星」で仕込んだ酒の酒粕です。
この他、道産酒造好適米「吟風」による「純米大吟醸酒粕」(800g・700円/税別)、「新酒バラ粕」(1kg・500円/税別)があります。
そうそう、バラといっても薔薇の香りがします、という商品ではありませぬ。
バラ粕とは・・・
販売される酒粕には種類があって、まず、酒を搾る(清酒と酒粕を分離)する際、酒粕が圧縮によって板状になったものを、そのまま袋詰めなどしたものが「板粕」。対してバラ粕は板状にならず文字通りばらばらになっているもの。米を低温発酵させて造る吟醸酒、大吟醸酒の粕は柔らかいので、板状のまま製品化しようにも崩れやすくばらばらに。なのでそう呼ばれます。前掲、男山の復古酒のそれも、ばら粕ですね。
あとは、漬物シーズンなんかによく売り出される「練り粕」。これは搾った酒粕を練って熟成させたもの。練ってあるので調理に便利。
うーん、酒のことになるとどうしても説明が長くなるな(^^;
塩粕を作ってみよう
■材 料
作りやすい量の目安として
・酒粕…100g
・水…100cc
・塩…30g
・みりん…小さじ2
■作り方
1.酒粕を水に浸して柔らかくする
のんびり数時間。すると酒粕が溶け柔らかくなります。
なんなら、一晩置いておく。寝てるあいだに柔らかくなるよ(笑)
いや、待てない!待つのは片思いの恋だけにしたいという方は、フードプロセッサーかミキサーをお使いください。
2.ペーストにする
1が柔らかくなったらヘラなどでペースト状になるまで練り、塩と味醂を加え混ぜる
はい、これだけで完成です!
あれ?練る必要があるなら、さっき酒粕の種類で言ってた「練り粕」を使えばいいんでないかい?
おおっ、鋭い着眼ですね。
でも筆者がお勧めしたいのは、前掲を例に、純米や吟醸といった類のもの。何といって香りや旨みが良いからです。
また、練り粕はすでに調味されているものもあるので(それが悪いという話じゃない)、此度のレシピが当てはまらないかも知れません。
塩粕を使ってみよう
筆者の調理例を紹介します。
調理なんてもんじゃない(笑)ほどにカンタンです。
まずは、名付けて「鶏の酒粕ロースト」。
もう、名前だけはいっちょ前って感じですが(^^;
【材料】
・鶏むね肉 1枚
・塩酒粕 適量
STEP-1
肉に塩酒粕をまんべんなく塗り、ラップにくるんで半日またはひと晩漬ける。
※画像は約1日経ったところ。塩分が浸かって肉に少し透明感が
STEP-2
塗った塩粕をぬぐいとる(ちょっとくらい残るのは気にしない)。
フライパンに油を熱し、皮目から焼く。こんがりしたら返し、蓋をして中火で蒸し焼きに。
STEP-3
あとはお好きな食べ方で
自分はわさびマヨネーズが好きです ^^
先日は卵焼きの塩の代わりに。
当レシピの塩酒粕はけっこうしょっぱいので、お試しの際はご注意を。
また、生食の場合は、酒粕にはアルコールが含まれいることを十分ご配慮ください。
酒蔵直売所 ごあんない
■男山 酒造り資料館
住所/旭川市永山2条7丁目
電話/0166-47-7080
開館時間/9:00~17:00
休館日/年末年始
■高砂酒造 明治酒蔵
住所/旭川市宮下通17丁目
電話/0166-22-7480
開館時間/9:00~17:30
休館日/年末年始
美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。
・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター