概 要
JR北海道による2021年3月13日ダイヤ改正で、利用が少ないとして道内18駅の廃止が決まった。
そのうち、旭川市内では石北本線の「北日ノ出」、函館本線の「伊納」の2駅が。および隣接する2町では宗谷本線:南比布駅・北比布駅(ともに比布町)、石北本線:将軍山駅(当麻町)が対象となっている。
撮り鉄を自称しつつ本性は駅鉄(駅に興味を持っている鉄道好きのこと)ではないかと、近年うすうす感じている筆者としては居ても立っても居られない。
ということで、先頃訪ねた旭川市内編「北日ノ出駅」「伊納駅」の続編として、次章で隣接自治体の3駅の直近の様子を紹介する。
前作は下記をごらんください。
当麻町 将軍山駅
駅から見える小高い山が将軍山(しょうぐんざん)。
北海道の開拓時代。かの永山武四郎少将がここに登って辺りの開拓構想を模索したことから、その名がついたとか。
1960年(昭和35年)、日本国有鉄道石北線の将軍山仮乗降場として設置。
1961年(昭和36年)、所属路線が石北本線に改称され、1987年(昭和62年)、国鉄分割民営化によりJR北海道に継承と 同時に駅に昇格。仮乗降場以来、旅客のみ取扱いとなっている。
普通列車のうち、下り4本、上り6本(うち1本は休日運休)が停車する(2020年3月14日改正時点)。
乗降数は直近の調査で1日あたり3名以下となっている。
=参考:Wikipedia=
ホーム構造は単式1面1線。
雪に埋もれそうな狭い線路を、特急列車や快速列車が減速せずに通過する。
ホームの横にはブロック造の待合室が。
屋根にテレビのアンテナがついているように見えるが、テレビは設置されていない(あればいいのに)。
実はこれ、待合室の向こうにある民家のTVアンテナが写り込んだだけ(笑)。
室内は地べたがむき出しだがこざっぱりとしている。
秘境駅待合室によくあるのは日本酒の広告がついたベンチであるが、当駅はご覧のように造り付けられていて、けっこう立派だ。
手前にあるのはソファ。誰かが不用品を持ち込んだものと思われる。
上の画像は、多くの鉄道ブロガーがここを訪れネタにしているリクライニングシート。
どうやらボンゴ車の三列目のシートらしく、これも誰かが置いたものと思われる。
待合室の裏には和式の簡易トイレ。ドアが開け放たれたまま雪に埋もれ、少なくとも近頃使用された様子はない。
JRが設置したものか、まさか、これも誰かが勝手に置いたのか(笑)は分からないが、先ほどのソファといい、乗降客には至れり尽くせりな設備である。
かつては、地域住民にかなり親しまれていたことを思わせる。
前述の応接間のようなソファといい、実は地域の憩いの場になってたりして(笑)。
勝手な憶測だが、それはそれで実に結構なことだ。
ホームより線路を隔てたところに設置された駐輪場。
随分と傷んでいるが、けっこうな大きさ。かつては今よりずっと多くの利用があったんだろうな。
それにしても、自転車を入庫しようしてる時に踏み切りが下りたらどうするんだろうな(笑)
駅から田んぼを隔てたポイントから狙ってみた1枚。
車両は当地ではお馴染み、JR北海道のコーポレートカラーを身にまとったキハ40形。であるが、同じくダイヤ改正で、石北本線では23本中2本がH100形電気式気動車に置き換えられる。新しい列車風景が見られるな(車両は近代的なデザイン)。
SPOT DATA
名称:JR石北本線将軍山駅
住所:上川郡当麻町北星2区
比布町 南比布駅
宗谷本線と国道40号が交差する、その跨線橋の下にあるのが南比布駅。
モータリゼーションという時代の波から取り残された感がおびただしい。
Wikipediaによると「1947年(昭和22年)の北永山仮乗降場(現:北永山駅)の開設後、比布村(当時)内で駅の開設機運が高まり、1954年(昭和29年)より運動が本格化、翌年の気動車列車運行開始に伴い北比布駅とあわせ仮乗降場として開設された」とある。
ほう、比較的新しいんだ。それなのに廃止とは・・・。
もしも車でお訪ねなさる場合は要注意。
駅へは跨線橋(国道40号旭川方面車線)の端から進入することになる。その端の道は比布側、旭川側の2つがあるのだが、進入すべきは旭川側から。
比布側から入ると上の画像のような視界を得られるが、駅は見えても駅にはたどり着けない。駅のこちら側に線路はあるが付近に踏切がないからだ。
近所の人はどうするんだろう(あ、利用がないから廃止なのか)。
で、その旭川側から進入するとほどなく駅に到着。
雪の中からタケノコが出てきたような待合室がお出迎え。
比較的新しい、ちょっとログ調?なコンパクトな造りだ。
で、再びヒストリー。
前述の仮乗降場設置後、1959年(昭和34年)11月1日、駅に昇格(旅客のみ取扱い)。
ちょっと気になる待合室は、1956年(昭和31年)、地元住民の受益者負担により設置(初代)。2014年(平成26年)に老朽化の為に解体され画像にある2代目になったそうな。 =参考:Wikipedia=
室内には保線の方が使うと思われる除雪用具と、お馴染みの駅ノートが。
構造は単式1面1線。ホームの長さは車両1両分と小さい。画像は上り旭川方面(次は北永山)を向いたもの。
下りは比布駅、北比布駅と一直線に続く。
蛇足だが比布駅はピップエレキバンのCMで、ピップと比布を掛けてホームに樹木希林さんが立ったこともある。
平成生まれのヒトは知らないよね ^^;
再び反対側へ。
停車するのは上下各6本の普通列車。乗降数は直近の調査で1日平均3名以下。多い時は50人だったそうな。
=参考:Wikipedia=
画像はここを通過する名寄行き快速だ。車両はまたもお馴染みキハ40形。
ちなみに前掲・将軍山駅の章で述べた今春のダイヤ改正の内容同様、宗谷本線を走る気動車にもH100形が投入される。
その数、37本中34本というから、こうした味のある駅と我が愛しのキハ40形という風景は稀なものになるのかも。
SPOT DATA
名称:JR宗谷本線南比布駅
住所:上川郡比布町北1線
比布町 北比布駅
訪ねたのは2月上旬。
ご覧のとおり、すごい積雪。小さなプラットホームはさながら荒海に浮かぶ小舟のごとし。
その後、除排雪が進んでいればよいが、付近の道路は車がすれ違えないほどに狭いので、車で訪ねる際は要注意。
構造は単式1面1線。ホームの長さは南と同じ車両1両分だ。
画像、上り方面比布駅まで線路がまっすぐ伸びている。
前掲の南比布駅で述べた通り、当駅は1954年(昭和29年)より運動が本格化、翌年の気動車列車運行開始に伴い南比布駅と同時に仮乗降場として開設され、駅に昇格(旅客のみ取扱)したのも同じ1959年(昭和34年)11月1日であった。
=参考:Wikipedia=
間に比布駅をはさむが、まさに双子駅!
乗降数は、悲しいかな南に比べぐっと少なく1日平均1名以下(Wikipedia)と、状況はかなり厳しい。
あれ?さっきも見たよ。間違えて南比布駅の待合室をアップしちゃった?
と、思うほど、南とまるで同じな北比布駅の待合室。
生まれも育ちも同じ双子駅だから、2代目待合室もどこかの工場で一緒に作って、ある日一緒に運んで来たんだろうな、という想像は容易である。
それだけに、ともに生まれ消えていくという淡くはかない運命を背負った2つの駅に、だんだんと情がわいて来るのだった。
と、そこへ下り名寄行き普通列車が停車。
このキハ54形が向かう次の停車駅は同じく比布町の「蘭留駅」。
同駅もJR北海道の駅見直しの対象になったものの、令和3年度よりその維持管理が比布町に移行され自治体管理駅(比布町が維持管理費を負担する)として存続する。
駅の事情は様々だ。
SPOT DATA
名称:JR宗谷本線北比布駅
住所:上川郡比布町北5線
お訪ねの際にはご注意を
お疲れ様の心を込めて、駅にはやさしく接しましょう。人倫に触れる行為は絶対に禁物。
また、列車の運行を妨げることのないよう、法とマナーを順守すべし。
お互い気を付けましょう。
美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。
・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター