『一日散歩きっぷ』とは
正しくは「道北一日散歩きっぷ(2021年度設定)」といい、これはJR北海道が発売する、土日祝限定で道北圏フリーエリア内の普通列車と快速列車を終日自由に乗り降りできる乗車券のことなのだ。
運賃は大人2,540円(小人1,270円)。
これを利用すれば食べ放題! じゃなかった、乗り放題!なのである。
●フリーエリア区間は次のとおり
・函館本線(美唄駅~旭川駅)
・根室本線(滝川駅~新得駅)
・富良野線(全線)
・留萌本線(全線)
・宗谷本線(旭川駅~天塩中川駅)
・石北本線(新旭川駅~上川駅)
出典:同社ホームページ
この区間であれば、どこから乗ってもどこで降りてもOK。
上手に工程を組み立てれば、ちょっとした旅行を楽しむのにも便利。
まずは、きっぷを買おう
一日散歩きっぷが買えるのは、利用当日の朝(営業開始時刻)から。
ただし前売りなし、また、発売箇所限定となっている。
発売箇所は旭川駅、深川駅、永山駅。
発売期間は2022年3月27日までの土曜・休日となっている。
というわけで、旅行当日の朝、筆者は出発駅である旭川駅の緑の窓口で切符を購入。
切符は、通常使われている磁気式のもの。大きさは特急のと同じかな。
何かの記念切符のような素敵なものじゃない、極めて事務的でもある。
窓口はしばしば人が並んでいる(ちょっと時間がかかることも)ので、時間に余裕を持っておいてよかった。
JR北海道の同きっぷのサイトで事前にQRコードをダウンロードしておけば、指定席券売機で簡単に購入することができるので、そっちの方が便利だったかも。
いざ、松尾ジンギスカンの聖地「滝川」へ
筆者らを待っていた列車は、何と筆者がこよなく愛するキハ40(タイフォンあり)。
旭川ー滝川の普通列車はこれを含む3車種が運行されていて、どうせならキハ40に乗りたいと思っていたところにスケジュールが合致。幸運である。
あ、鉄ネタはこれくらいにしておいて、ちなみに列車の出発は10時35分である。
旅の情緒を演出する必須アイテム、大関ワンカップ。これは欠かせない(笑)
車窓から晩秋の景色を眺めながら、ワンカップをちびちび。
どうでもいい話をしながら過ごしていると、滝川はあっという間。到着は11時27分(所用時間52分)であった。
自動改札機に切符を通すと、出発時のようにガチョンと切符が出てくる。
これを取り忘れないよう要注意。
駅前の商店街。なんか寂しく撮れちゃったけど、多くのお店は営業してます
近年の地方都市(旭川市も含む)は駅前より国道沿いとか郊外の方が賑わってたりするんだよなあ、なんて時事を語りながら十数分。めざす建物に到着。
松尾ジンギスカン本店(隣は別館)。いつ見ても堂々たる風格である。
駅からてくてく歩いて来れば、ちょうどお昼どきである。我ながら良くできたスケジュールである。
何はともあれ腹減ったと、ビールとジンギスカンを注文。
料理を持ってきてくれたのは配膳ロボ!
前に来たときはこんなのいなかったし、注文もタッチパネルになっている。時代は変わったな。
だけど、ビールはヒトが持ってくる(笑)
人間の温かさは忘れないということでしょうか。
さすが松尾ジンギスカン。肉の種類がラムだのマトンだの、あるいは部位がいろいろある。
今回は、上マトンなるものを注文。
向こうは肉についてくるお野菜(タダ)。その向こうは季節のお野菜盛り合わせ(有料)。
鍋の周りの溝にタレをたっぷり注ぎ込み、そこで野菜に味を染み込ませて味わうというのが松尾の流儀。
加えて、てっぺんにモヤシを置いてそれを肉で覆って蒸し焼きにするのが筆者の流儀(笑)
出来たよ~、の図。
フルーティーなタレの香味に、ああ、松尾ジンギスカンに来たんだなと思う。上マトンの食べ応えも実に良い。
また、タレが染みたイモやニンジン、カボチャはとても美味しい。
上マトンのお代わりのついでに、単品メニュー(けっこう色々ある)も。これでさらに飲む(笑)
これは羊肉ソーセージ。香りがよく実に美味。
次もあるから(ハシゴの予定)軽めにと思ってもそこはジンギスカン。ついついビールが進んでしまうのだった。
美唄へ向かう列車は滝川発13時36分。店を出るのが13時10分と予定しても滞在時間は約1時間半。
軽く楽しむには十分である。
お店情報
松尾ジンギスカン本店
住所/滝川市明神町3丁目5-12
TEL/0125-22-2989
営業時間/11:00〜21:00
定休日/不定休
■お土産にまんじゅうを
松尾ジンギスカンの真向かいにお菓子の「やまき」が。
食後、会計しながら評判をリサーチすると「美味しい」との松尾のスタッフ談あり。
店内は餅、まんじゅう、和菓子から洋菓子まで豊富なアイテムがズラリ。
筆者は豆大福を。同行の者は焼きまんじゅうを滝川土産として購入。一応旅行だからね、お土産は欠かせない、ってことで(笑)
そして焼鳥のまち美唄へ
次なる目的に向かう車中から。
絵画のように映るかなと撮ってみたうちの1枚。
とかなんとか、酔興なことをやってるうちに美唄には14時05分の到着となった。
美唄駅は真新しく機能的でちょっと感心。中央バスのターミナルが隣接していて、やっぱ美唄は道北というより札幌寄りだなと思う(札幌居住経験者には中央バスが懐かしい)。
駅および周辺はきれいに整備されている。
実は筆者、美唄に立ち寄るのは初めてなのである。昔は炭鉱で栄えたとか、そんなことしか知らないけど、現状を見るにつけとても閑静なマチという印象を抱くに至る。
市街をちょこっと散策しながら、目指す店はすぐに見つかった。
なんだかとても立派。上は住居かな。
美唄焼とりの有名店。モツ串愛好の間では知らぬものはいないとか何とか。
とはいえ、今回の行程の都合上、昼からやってる店という条件にかなうのは同店だった。
というか、ここは午前中からやってる、何やらスゴそうな店だ。
というのも、焼鳥屋でランチメニューって!?
メニュー表を撮りそこねたが、モツ蕎麦をメインにした定食は数種あり、地元の方と思しきご夫婦や会社員ふうの方々がみんなそれを食べている。
という情報を知らないで入店した筆者ら、「ふつうの焼鳥を食べたいんですけど」と言ってみると「はい、ふつうのもやってますよ」とのことでホッ。
2度目のカンパイをしてみれば、ランチタイムは終了(ランチ定食は14:30で終了らしい)。
のちにトイレに立って気づいたが、1F奥には宴会ができる大広間もあって、焼鳥店にして昼から夜まで地域御用達の飲み処だったりするのかも。旭川にもこんな店がもっとあればいいのに。
まずは食うべしと頼んだ二人分は、モツ6本、精肉4本、せせり(だったかな)2本。
モツ串って少し小さめ(なんたって1本110円)だから軽くイケると思ってたら、思いのほか大きい。
こりゃ誤算。ジンギスカンを食べてきた身、食べ切れるかな。
ほかにも食べたいものがあるんだよ。
いちおう旅だから、地元の方とふれ合ってみた。
「美唄焼とりって言葉はいつからあるの?」とベテランふうの店員さんに質問。
「え?さ~てねえ。私が若い頃から美唄焼とりだもんねえ」とのこと。
ということで、帰って来てから調べてみた(先に調べとけよ)。
当時の炭坑労働者が好んで食べていたといわれるのが「美唄やきとり」である。 いまも「美唄やきとり」は地元のソウルフードとして、子どもから大人まで幅広い世代に食べられている。 発祥は昭和30年(1950年前半)ごろ、美唄市内でやきとり屋台を営んでいた三船福太郎が考案したといわれている。=農林水産省HP「うちの郷土料理」
で、ほかにも食べたかったものというのがコレ。もつ蕎麦だ。
いわゆるかけそばに焼いたモツ串をトッピング。もともと良い味のおつゆに、モツの脂やら旨味が溶け込んで、期待どおり実に美味しいのである。
これには同伴の者も絶賛。
モツ串は塩味などあまりきつくなく食べやすいせいか、さっきのモツ串などは軽く完食しお腹に余裕あり。
ということで、多彩な鶏料理(これがまた結構ある)の中から「たつみザンギ」を。ほんとは鳥串カツという手もあったのだが、「たつみ」の名がついたら興味は否めない。
今度は若いお兄さんスタッフとふれ合い、「たつみの味は何か特徴でも」と質問。
「特に・・・、普通です」と言われたが ^^; しっとり柔らかな肉は味つけもよく美味。たつみの味をしっかりと堪能させて頂いた。
お店情報
美唄焼とり たつみ
住所/美唄市西1条南1丁目1-15
TEL/0126-63-4589
営業時間/11:00〜21:00
定休日/火曜
一日散歩きっぷのメリット検証
と、たつみを出たのが15時40分頃。
店での滞在は約1時間20分位で、焼き鳥店を堪能するには十分であった。
その後、15時54分発旭川行きに乗車し、無事着旭。安着祝いということで居酒屋で軽く飲んでお開きとした。
その気になれば、美唄からの道すがら深川で途中下車して居酒屋にというプランもないわけでなかったが、深川着が居酒屋などの開店時間よりちょっと早いということで断念(10分待てば入れたのに)。
さて、美味しいもののあとに金の話とはちょっとはしたないが・・・
今回の行程を普通列車の普通運賃を払っていたら
旭川ー滝川 1290円
滝川ー美唄 640円
美唄ー旭川 1680円
合計3610円ということで、一日散歩きっぷがいかにおトクか明白である。
とまあ、金銭的なメリットはさておき、筆者らはハシゴ酒ツアーであったが、知らないマチをぶらぶらしてみたいとか、地方の観光地を巡ってみたいとか、そんな小旅行好きには格好の手段であることは間違いない。
美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。
・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター