旭川の駅風景【JR富良野線】各駅を訪ねて

旭川の駅風景【JR富良野線】各駅を訪ねて

鉄道のまち旭川。鉄道があれば駅がある。そんな当たり前の風景を改めて見つめてみませんか。


What's 富良野線

ざっくりと沿革を記しておきましょう。
もともとは旭川と釧路を結ぶ路線として明治時代に開業。昨年はその120周年を迎えている。
大正時代、滝川を起点として釧路に向かう幹線が整備されたため、旭川ー富良野間は分離され「富良野線」となった。
営業距離は54.8km。運用される車両はもっぱらキハ150形、0番台と100番台。

本編では、富良野線に設置された旭川市内7駅(旭川駅は除く)を旭川駅から順に訪ね、その様子を紹介する。ちなみに旭川―千代ヶ岡間の営業距離は16.6km。

それにしても、地図を見て思うに、富良野線が旭川空港とつながっていないのが不思議。大概の都市なら空港駅というのがあるものと思うのだが。

神楽岡駅

上のマップを見て分かるとおり、富良野線は国道237号線(通称富良野国道)とほぼ平行して走っている。
美瑛や富良野方面にドライブした方は、点々と見られる駅の風景が記憶にあると思う。
が、当駅は国道沿いではないので、ここに駅があることを知らないという方がたまにいる。

旭川駅を発って3分弱。緩やかな左カーブが終わると神楽岡駅だ。
やっぱJRは早い。車ならこの時間は到底無理。

その背景は閑静な住宅街という土地柄なせいか、駅はどことなくアットホームなムードが漂う。
おっ、整然と柵が取り付けられている。都会の駅のホームなどにある線路への落下防止のあれかな。
と思ったら、柵はホームと線路の仕切りではなく、ホームとその後方を仕切るものだった。線路への、じゃなくその他の方向への転落防止目的のよう。

この柵やプラットホームの桁はきれいに塗装されている。こうした無人駅は、JRの委託を受けるカタチで地域の自治会等が施設の管理を受け持つが、当地にあっては、その対応の実直さが伺える。

待合室へは、広く緩やかなスロープを渡って。バリアフリー配慮が素晴らしい。

ホームの構造は単式1面1線。若干カーブしている。

中には券売機とベンチ。必要最低限の設備があるごくごく簡素な室内だが、きれいに使われている様子。あるいは手入れが良いか。

周辺は神楽岡公園の森が見える坂のまち。ドラマのワンシーンに使えそうな風情も漂っている。
が、踏切道に貼られた舗装板の鮮やかな色がやたらと目立つ。が、歩行者や車の足もとを守るための施工ゆえ仕方ない。これが今どきの踏切風景というところか。

待合室周辺の柵もエメラルドグリーンに塗られているが、偶然か意図的なものか。だが、カラーコーディネートとしては悪くない。

待合室の横には桜の木が(昨年撮影)。
今年もゴールデンウイークの頃には、駅にほんわかと温かなムードを演出するだろう。

緑が丘駅

神楽岡駅から約3分。こちらはウッディな色彩が印象的な、緑が丘駅の待合室。
周辺の環境とよく馴染んでいる。

駅の裏には公園と神社があって、その森は乗降客に四季を伝えてくれる。環境は何とも情緒豊かだ。

構造は単式1面1線。
整然としたプラットホームで列車を待てば、遠くから来るのがよく見えそうだ。

春には桜が咲き、夏には手入れの整った花壇が駅を彩る。
背景には新しい住宅が立ち並ぶ地域との一体感がある温かな駅だ。

西御料駅

緑が丘から3分弱。1.2km移動すると、国道沿いに並ぶ小売店やスーパー、カーディーラー、事業所も随分と少なくなり、街並みはちょっとのんびりしたムードに。

ホームの構造は単式1面1線。
階段を上がるとすぐに、小さな待合室が。さらに、停車する列車のドア位置はすぐ前と、駅はコンパクトな造りになっている。

西瑞穂駅

西御料から3~4分、距離にして2.2km。
景色にちょっと田んぼが増えてきたかもと思ったら西瑞穂駅。
ホームの構造は単式1面1線。待合室はごらんのとおり極めて簡素。

ホームのわきには自転車置き場が。
かつては自転車が埋まった頃もあったのだろうか。
駅の存続を思うと、ちょっと胸が締め付けられる光景だ。

西神楽駅

西瑞穂駅から3~4分で西神楽駅。
駅前には国道が走り、手前の駅よりは少し「まち」な感じがする。それに合わせてか駅舎外観は洒落ている。

駅舎は表と裏の造りが同じ、シンメトリーな外観が面白い。
ホームの構造は相対式2面2線。前掲が1面1線であったことから、ここでは列車交換(上りと下りの列車がすれ違うこと)が行われるであろうことが分かる。

筆者の興味を惹いたのは跨線橋。
建築に鉄骨が使われている(窓の下、緑色の横に長いもの)が、ひょっとしてコレ、古材のリサイクルじゃないだろうか、と勝手に妄想。
線路や鉄橋の古材を駅施設の建築用にリサイクルすることはよくあることだが、ときにその材料がスゴい年代ものだったり外国製だったりするのが、こうした施設の面白いところ。

それを思わせたのは、この名標版らしきプレート。
こうしたものは、工事が完成した日付や施工業者名が記されるものだが、研磨で消されたのか文字は確認できない。
この鉄骨はいつのものか、どこから来たのかなど、妄想は膨らむ(笑)。

ちなみに、西神楽駅から国道を美瑛方向へ徒歩で数分行くと「神楽神社」が。
列車の車窓からは、一瞬の景色だが、国道から見るとけっこう荘厳。
参道に線路の踏切があるなんて、江ノ電が走る鎌倉の神社のようでステキだ(実は鎌倉好き)。

西聖和駅

西神楽駅から約3分。国道から離れ、周囲は田んぼというロケーションにあるのが西聖和駅。
ホーム構造は単式1面1線。

ローカル線っぽい感じ(田舎情緒)を撮り鉄したいなら、おすすめの駅かと。
田んぼがあり山が見え、四季を通じて絵になるだろう。

そういや、待合室がないな。
と思ったら、あった! ホームから少しはなれたところに。
これは確かに目にしていたが、ヘビーデューティーな雰囲気に、農業用か何かの施設かと思ってた(笑)。
屋根の下、半分が待合室。もう半分が自転車置き場ということになっている。機能的なうえにブロック造り。なんだかスゴイ。

千代ヶ岡駅

西聖和駅から5分。営業距離4.3kmは今回の中でもっとも長い。
ホームの構造は相対式2面2線。跨線橋はなく踏切歩道を渡る。

2線ということは・・・

時間によっては列車交換が見られる。
撮り鉄ならば、やっぱこれを見たい。
ちょうど出くわしたのは、キハ150形の色違いのすれ違い(シャレか)。
向かって右、こっちに向かっているのがラベンダー色(ライトパープル)の0番台、向こうに行こうとしているのがJR北海道色(萌黄色)の100番台だ。
この光景、富良野線ならでは。

駅を出て表の通りへ。
おや、駅舎はホーム側と同じ顔。西神楽駅と同じシンメトリーなのだね。

で、駅の前がすごい。

国道を渡って撮ったのだが、これ以上距離を撮ることができずこんなアングルになってしまったが(もっと広く撮りたかった)、駅前には4本の老樹(ハルニレ、ヤチダモ)が。
これらはなんと明治からのもので、市の保存樹木に指定されている。地域の移り変わりを見守ってきた、まさにまちのシンボル。この情景がいつまでも続くことを祈りたい。

この記事のキュレーター

美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。

・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター

関連するキーワード


鉄道

関連する投稿


小股川に謎の鉄橋!?【廃線探訪】東川線の遺構を訪ねる

小股川に謎の鉄橋!?【廃線探訪】東川線の遺構を訪ねる

昔々、旭川四条(旭川市4の22)から東川まで、また東旭川まで鉄道が敷かれ、電車が走っていたのをご存知ですか。それを物語る施設跡があるんです。さあ、鉄道の歴史散歩へ。 ※情報は取材時のものであり、現在、対象の状況が変わっている場合がありますので予めご了承ください


【9月29日まで】JR富良野線鉄道絵画コンクール作品募集中

【9月29日まで】JR富良野線鉄道絵画コンクール作品募集中

2023年9月29日(金)まで募集中の『JR富良野線 鉄道絵画コンクール』のご紹介です。


JR【旭川発】ノロッコ飲み鉄ふらの旅

JR【旭川発】ノロッコ飲み鉄ふらの旅

JR北海道の観光列車「ノロッコ号」に乗って、富良野市、上富良野町をめぐる飲み鉄(列車で酒を飲むこと、飲みに行くこと)を楽しんできました。グルメあり、地元とのふれ合いあり、ノロッコ号の様子も交え、さる1日の様子をレポートします。


【廃駅探訪】留萌本線、その後の留萌ー石狩沼田間《後編》

【廃駅探訪】留萌本線、その後の留萌ー石狩沼田間《後編》

本記事は同名記事の「後編」です。JR北海道が、本年4月1日に廃止した留萌本線石狩沼田~留萌間。これに伴い6駅が閉鎖されたが、あれから2カ月余、駅舎はどうなっているだろう。車で各地を訪ねてみた。 ※記事の内容は2023年6月上旬現在のものです


【廃駅探訪】留萌本線、その後の留萌ー石狩沼田間《前編》

【廃駅探訪】留萌本線、その後の留萌ー石狩沼田間《前編》

JR北海道が、本年3月31日をもって廃止した留萌本線石狩沼田~留萌間。これに伴い6駅が閉鎖されたが、あれから2カ月余、駅舎はどうなっているだろう。廃駅前の様子を振り返りながらその後の様子をレポートします。 ※本記事の内容は2023年6月上旬現在のものです


最新の投稿


【緑が丘エリア】立地良し!住み心地良しの中古リノベ物件をご紹介

【緑が丘エリア】立地良し!住み心地良しの中古リノベ物件をご紹介

今回ご紹介するのは、旭川市緑が丘エリアにある中古リノベ物件。立地に恵まれ、綺麗にリノベーションされた内観はまるで新築のよう!住み心地の良い快適な物件となっています。


『いっとこ!』で放送決定!札幌の低酸素ジムエクスリミット琴似店

『いっとこ!』で放送決定!札幌の低酸素ジムエクスリミット琴似店

札幌市にある低酸素ジム『エクスリミット琴似店』に、UHBの番組『いっとこ!』が取材へやってきました!一体どんなジムなのか、4月27日(土)の放送で詳しく紹介されます!今回は取材の様子を少しだけご紹介します。


【4月26日~】豊岡のアモールで大抽選会&イベント&フードフェス開催!

【4月26日~】豊岡のアモールで大抽選会&イベント&フードフェス開催!

2024年4月26日(金)から5月6日(月)まで旭川市のアモールショッピングセンターで開催される『大抽選会&イベント&フードフェス』のご紹介です。


【栗山町】旭川から行く乗り鉄&酒蔵探訪の日帰り旅

【栗山町】旭川から行く乗り鉄&酒蔵探訪の日帰り旅

酒販店や居酒屋でお馴染みの『北の錦』。北海道の人気ブランドを醸す小林酒造の酒蔵を訪ねました。試飲も目的なので「足」は車でなくJR。乗り鉄も楽しもうと、ちょっと欲張りな一挙両得旅のレポートです。


【旭川】春に恋しい!冷たいスイーツグルメ3つ

【旭川】春に恋しい!冷たいスイーツグルメ3つ

いよいよ春本番。桜はもう少しで咲きそうですね。急に気温が温かくなる日もあってちょっと冷たい飲み物やスイーツが恋しくなってきませんか。旭川市内の老舗菓子店・八百屋さん・移転オープンしたカフェでおいしいスイーツを頂いたのでご紹介しましょう。


コープ
vision
旭川を盛り上げよう!キュレーター募集!
カラダ
新店
不動産
本郷美術骨董館'
LINE募集'

人気ランキング


>>総合人気ランキング
3年ぶり開催の幌加内そば祭りに上杉周大さん登場!会場大盛り上がりで大盛況
バイオ
旭川ホテルガイド
旭川を盛り上げよう!キュレーター募集!