■「飲まさる」とは まずは国語の授業です
「飲まさる」は飲み物がすいすい喉を通ってしまう状態をいう北の方言だ。北海道、および東北あたりでも使われているらしい。
大概はウレシイ時に使う、感嘆詞的な使用目的もあり、これを強調するため「なまら」(とても、の意)をつける場合も。
【使用例】
・のど乾いてるからジュースなまら飲まさる
・この酒すっきりしてるから飲まさる
・ツマミがなまら旨いから酒飲まさるわぁ
ちなみに、これの過去形は「飲まさった」。
飲み物でなく食べ物のときは「食べらさる」となる。
まんまるまほろの「鶏レバーチーズ」
一昨年、買物公園にオープンした小料理屋。経験豊富な店主の小粋な料理はいつも酒との相性抜群で、突き出しだけでも呑み手をたちまち虜にしてくれる。
店ではその季節その日の旬がおすすめとして供されるが、いつもずらりと用意されているレギュラーメニューも見逃せない。そのひとつが鶏レバーチーズ。
一見、スイーツのようにも見えるコレ。その名の通り鶏レバーとチーズを重ねて蒸したものなのだが、濃厚な食材同士だもの、その食べ応えはさらに濃厚たること間違いなし!
と思いきや、思いのほか風味はあっさり。
鶏レバーはしぐれ煮(生姜を使い砂糖、醤油と煮たもの)にしてあり、チーズは一般にもよく出回っているようなごく食べやすいものを使っているということで、とても食べやすいのである。これぞ和の妙技。
ともかくは2つの食材の絶妙な相性によって膨らむ旨さはこの上ない。
飲まさって困る(笑)
お店情報
店名:まんまる まほろ
住所:旭川市5条通8丁目
電話:0166-56-8415
営業時間:14:00~22:00
定休日:月曜(祝日の場合は火曜)
※感染防止対策のため時短営業中
駐車場:なし
七輪屋の「辛みそホルモン・サガリ」
さて、ところは変わって焼肉屋。ふらりーとにある人気店
焼き肉だもの、がっつり食べながらビールをグビグビ。ああ、ビール飲まさるわ~。というのはよくある話。
今回紹介したいのは、たとえば冷や酒とか焼酎なんかがやたらと飲まさる、酒のアテ的な一品。
それは辛みそ味のホルモンと豚サガリだ。
辛みそホルモン
向こうがサガリです。手前は本編に関係のない塩ホルモン。スイマセン ^^;
どちらも筆者の好物。酒のアテなら塩サガリが好みなのだが、ピリ辛の味噌をからめて焼くこれ、初めて食べた瞬間に虜になった(笑)。なんたって味付けが絶妙。
あ、辛い。でも、むにむにと噛むうちに染みだすサガリの旨みが辛みそに溶け、口の中が何とも美味しいエキスで一杯に。
そこに酒。やばい、これは飲まさるわ~。まさに病みつきの味なのである。
辛さは調節してもらえるようだ。お試しあれ。
お店情報
店名:七輪屋
住所:旭川市5条通7丁目5.7小路 ふらりーと内
電話:0166-22-4682
営業時間:17:00~23:00
定休日:火曜日
駐車場:なし
ユーカラの「イカごろルイベ」
4条通7丁目。店はすっかりまちの顔だね。
こうした大衆酒場によくある酒のアテは、安定の美味しさで、とにもかくにも、飲み始めにはありがたい。
赤いウインナー・卵焼き・ゲソ唐揚げ
そんな中、日本酒でもやろうかという時、欲しくなるのが「いかごろルイベ」。
昔からよく食べているので何とも思っていなかったが、観光のお客さんは「ごろって何ですか」「ルイベってなんですか」と聞く。
北海道民は疑いもなく標準語だと思っているが、実はどちらも地域独自の呼び名。
ごろは、内地(これも北海道民、特におっさんがよく使う言葉。内地=本州のことね)では、よく「わた」と呼ばれてますな。イカの主に内臓の部分。
ルイベは、凍らせた魚を、凍ったまま刺身にしたもの。アイヌ語が語源だ。
つまり、その実態はイカのわたを凍らせた刺身。
その形状は店によって様々。同店はイカの身でごろをくるっと巻き、凍らせてからスライスしたと思われる。他店では大葉を一緒に巻いてあったり。
それはそうと、酒、特に日本酒には鉄板だね。飲まさること請け合い。
とかなんとか、そんな話に夢中になってルイベに手をつけないでいると、溶ける(当たり前だ)。ルイベは凍っていたものが口の中で溶けていくところに味わいがあるのだ。
ちなみに、アイヌ語のルイベは「 ル=溶ける・イベ=食べ物 」。凍った食べ物という意味じゃないんだな。
口の中で溶けたところをで十分に味わい、飲み下す。舌にゴロの余韻が残っているところを酒で洗い流す。そんな感じでやる酒は実に印象深い。
お店情報
店名:炉端のユーカラ
住所:旭川市4条通7丁目
電話:0166-23-1114
営業時間:15:00~24:00
定休日:不定休
駐車場:なし
酔いどれ後記
いかがですか。今回紹介した酒のアテ。
これを機に、ああ、飲みに行きたいなと思っていただけたら幸いです。
だけど、飲まさるからと勢いがついて、飲みすぎないようにくれぐれもご注意を。
他にもバランスよく食べながら、ゆっくりお過ごしくだされ。
なお、タイトルが違いますが、当連載の第1話は以下のリンクをご参照ください。
美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。
・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター