更科そばとは
田舎そばの特集でざっくりと説明したが、今一度、蕎麦粉の種類について説明させて頂く。
蕎麦の実を挽くと、中心部から出てくる粉が一番粉、次に出てくるのが二番粉、最も外側のものを三番粉と言う。
色は一番粉が最も白く風味は淡白とされ、二番、三番と外側に向かうと黒っぽくなり、風味が増す傾向にある。
すなわち、更科そばといわれるのは一番粉を使ったものを指し、色の黒っぽい田舎そばの対局にあるものと言えるだろう。
一番粉で打った更科そばは、一般的に、上品で繊細な風味とやわらかな喉越しが醍醐味とされる。
そば源 本店
天ざるそば(1,300円)
そば源では天ざるで更科を味わう。
更科の風味をひたすらに追及するなら「もり」が適当なんだろうが(味わいに他の食材が混在しない)、近くの席にいた方がこれを食べていたもので、つられたか(笑)。やはりそば屋では好きなものを楽しみたい。
透き通るような白さが、そば源お馴染みの更科。
改めて拝見すれば、艶もありますな。まさに上品なイメージ。
また、甘い香りがごく穏やかに。
これよりも天ぷらがいい匂いで、冷静さを失いそう(笑)
甘辛なつゆが、素材の持ち味を引き立てる。
ふくよかなコシの中から素朴な香りが膨らんで、穀物を頂くしあわせを実感。
繊細だが力強くもある、そんな食べ応えがそば源の更科だろう。
お店情報
店名:そば源 本店
住所:旭川市曙1条7丁目1-8
電話:0166-22-6261
営業時間:11:00〜19:00
定休日:木曜日
駐車場:あり
そば処 四條庵
つけおろし(920円)
四條庵では、ざるそば。
いえいえ、左にあるでしょ。おろしを添えて「つけおろし」で更科を味わうことに。
筆者の中では、おろしそばなら四條庵、そんな決め事がある。
たかが大根、されど大根。四條庵のおろしは、ふわりとしていて味わいは鮮烈だ。東店も同様。
つゆにまみれたおろしが、更科のふんわりと素朴な香りを引き立てる。
その逆も然り。そばのおだやかな素材感がおろしとつゆの香味をより豊かにしてくれる。
そば、おろし、つゆ。三者の相性は極めて絶妙。これが、筆者が四條庵では、おそしそばを特に好む理由だろう。
ともかくは、おろしとともに味わうそばは清涼感がたっぷり。
この食べ応えは、洗練された更科そばならではだ。
お店情報
店名:そば処 四條庵
住所:旭川市4条通25丁目
電話:0166-31-6458
営業時間:11:00~20:00
定休日:金曜
駐車場:あり
はま長 本店
更科を語るなら、この店ははずせないだろう。
するっと食べられる細麺は、はま長の独特な香りがして、何しろ粋な感じがして良い。
磯あられ(871円)
今回は磯あられで更科を味わう。
海苔の風味たっぷりな冷やしたぬき、というところか。
天かすの香ばしい、筆者の好物のひとつだ。
冷水でしっかりと締めたそばは、氷入りのつゆの中でさらにぎゅっとコシを強める。
冷たいものはあくまでも冷たく。これがはま長の心意気だ。
おかげで、快活な喉越しとともに広がる更科ならではの旨味が痛快だ。
やはり、冷たいそばというのはかくありたいもの。たまたま暑かったその日、体の熱がすっと引いた。
お店情報
店名:はま長 本店
住所:北海道旭川市3条通6丁目左10
電話:0166-22-2731
営業時間:11:30~14:00/16:00~翌2:00
定休日:日曜
駐車場:なし
ちょっとつけるか、たっぷりか。
もりそば、ざるそばを食べる時、つゆはそばの先にちょいとつけて食べるのが粋。じゃぶじゃぶと浸すのは野暮。
などと江戸っ子が申しておりますが、あなたは?
でも、それはお江戸の、辛い(こっちで言う「しょっぱい」の意)つゆでの話。
味が濃いから、つけるのは少しで十分だし、そのおかげでそばの風味が引き立つというプロセスが、そばの味わい方らしい。
それはともかく、ちょんちょん、なんてお上品なことをせず、たっぷりつけたい筆者である。
でもって、がぼっとたぐって口に運ぶという食べ方をしていると思う。その方が、そばとつゆの一体感を味わえるような気がして。
または、こっちのつゆは向こうほど味が濃くない(諸説あり)ので、そうしても「しょっぱ〜」ということもない。
そういえば、いつぞや行った神田の店では、ちょっとだけつけてたな。そば通を気取ったか(笑)
まあ、何をどうして食べようが自由ということで、悪しからず。
美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。
・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター