「1日散歩きっぷ」とは
正しくは「道北一日散歩きっぷ」。
フリーエリア内の普通(快速を含む)列車の普通車自由席が乗り降り自由というもの。
販売、利用は土曜・日曜・祝祭日のみ。
料金は、大人2,540円、こども1,270円。
フリーエリアとは、旭川から函館本線「美唄駅」、留萌本線「留萌駅」、宗谷本線「天塩中川駅」、石北本線「上川駅」、富良野線および根室本線「新得駅」(※東鹿越-新得は災害のためバス代行)までをいう。滝川から富良野へ、というのもアリ。
いざ、留萌へ
留萌へは、到着したらすぐに引き返すという行程。目的は、ひたすら車窓を楽しみつつ車内で酒と肴を楽しむこと。
という予定だったが・・・
乗り込むのは10時35分旭川発・滝川行きの「キハ40型」。
asatanでも何度も書いた、筆者がこよなく愛する車両だ。宗谷本線ではすべてが、旭川に接する石北本線ではほとんどが退役してしまった歴史ある車両だが、函館本線の旭川‐滝川でかろうじて数本が生き残っている。
で、これ2両編成なのだが、後ろにある車両を見てびっくり。
こ、これは「山明(さんめい)号」じゃないか!?
山明号とは、JR北海道が2019年に、キハ40形を改装し運行した観光列車「山紫水明(さんしすいめい)」の、2両編成のうちの1両である。ちなみにもう1両は「紫水(しすい)号」といいペイントされた図柄が違う。
後方より撮影
JR北海道が例年春期に宗谷本線を走り抜ける観光列車「花たび そうや」などを催し、「山紫水明」を運行。
普段は、普通列車に連結されてもいて、「一度は乗ってみたいな」と思っていたその車両がまさに目の前に。
出発する前から、やたらとテンションの上がる筆者である。
ともあれ乗り込めば、山明号のウッディな内装にうっとり。
今回の乗り鉄は、いきなり収穫アリだな。
発車。
何はともあれビール。乗りかえの深川駅まで30分足らずという乗車時間だが、短いひとときもとにかく楽しみまくるべし。
よく撮り鉄のために訪れる近文駅も、今日は撮られる側である(誰も撮ってないけどw)。
でも、撮るのも楽しいが乗るのも楽しい。
留萌線乗り換えまで数分しかなかったが、駅なんぞ撮ってみる。旅気分ってやつは大事だ(笑)。
乗り換えは11時10分深川発・留萌行きの「キハ54形」のはずが、あれ?「キハ150系」だ。
キハ40形と同じ国鉄系車両なので、これも楽しみにしていたのだが・・・
とか思う間もなく、乗り込んでびっくり!!
違う列車に乗ってしまったか?と思うほどの、まさかの満員。
これはアレです。その頃発表になった「留萌本線を段階的に廃止する」のニュース。まずは、留萌本線・深川-留萌/50.1キロのうち、石狩沼田-留萌/35.7キロが2023年3月末で廃止になるというので、この乗客のほどんどは乗り鉄目当てなんでしょう。
まさかこんなに早く、こんなに大勢が食いつくなんて、鉄道ファン恐るべし、である。遠方から来たのか、スーツケースのヒトも多数。
いやはや、車窓の景色を楽しみながらお弁当を食べようなんて、ムリ。甘かった。
出発前にイオンで買ったお弁当や酒が満載の、荷物の重さが虚しい(笑)
とくに運転席付近はカメラを持った人で一杯(進行方向が撮れる)。
なので後尾に立ち、なくなってしまう景色を撮っておきましょうかと。
深川を立ち、北一己(きたいちゃん)〜秩父別(ちっぷべつ)〜北秩父別(停まらずに通過)、そして石狩沼田。
ここまでは暫定的に廃止が先送りに。
行く行くは、ここが留萌線の終着駅(始発駅?)となる。
同駅にも近年幾度か訪れた事があるが、北海道が留萌線廃止を各自治体に持ちかけた辺りからか、末路を悟ったかのように、駅舎は手を入れずにけっこう傷んでいたのが印象的。
列車はさらに留萌方向へ。
小さな木造駅舎がフォトジェニックな人気スポット「真布(まっぷ)駅」。
周囲にもカメラを持った人がぼつぼつと。
NHK朝ドラのセットとして作られた駅舎が保存されている「恵比島駅」。
沼田町はこれを観光名所としているが、廃止後はこれをどうするのかな。
峠下(とうげした)駅
幌糠(ほろぬか)駅
藤山駅
ここも古い駅舎が残っている
大和田駅
左にあるのがホーム(撮影をしくじった^^;)
いやはや、「さよなら留萌本線」効果はすごい。
ほとんどの駅で人を見かけた。今までは人を見かけることがなかったのに。
ネットで見たそれ系のニュースによれば、今は休日ともなればたいそうな人出だそうな。
すぐ横には留萌本線に沿うように走る幹線道。
悔しいが、こりゃ誰も列車を使わなくなるのも分からんでもない。
生い立ちを辿れば、住民の足というより産業発展のため。もう役目を終えたと思わざるを得ない光景。
12時07分「留萌駅」着。
列車は12時18分「留萌駅」発の折り返し運行となり、筆者は駅舎を出る事なく(一旦、ホームからは出される)それに乗り込んだ。
11分では何もできない。せめて20分あれば、駅前の市場にある鮮魚店で人気らしい海鮮丼を買いに行けるのに。
観光列車ではないからそんなことは望めないが、そもそも後の祭りってやつか(笑)
深川から砂川へ
13時13分深川着。
留萌本線の乗り鉄はハズレとなったが、気を取り直し次なる目的地「砂川」へ。
そのための滝川行きは14時10分と、それまで小一時間あるので、手付かずのお弁当を駅近くの公園で食べることに。
ちょうど通り過ぎる貨物列車など眺めなら過ごしているうちに滝川行き721系はほどなく出発。
滝川駅14時28分着。岩見沢行き721系14時45分発に乗り換え、6分で砂川駅14時51分着。
砂川に赴いたのは、駅前エリアに昼から飲めそうな店があるから。
というはずだったが、それらしい店が見当たらない。
ひとまずコーヒーでも飲もうかと、駅前にあったレトロな雰囲気の喫茶店へ。
ここで何十年、駅前を見つめてきました的な、ご高齢のご夫妻と思しきお二人がお店に。
コーヒーを頼みつつ、店のことを尋ねると「こないだ閉めたよ」と。
またもやハズレ(笑)。風の向くまま気ままなアポ無し旅だから仕方ない。
まあ、まちのレトロな喫茶店に触れ合うことができただけよしとするか。
いっそのこと美唄にも
さて、帰ろうにもまだ日は高い。再び深川に立ち寄り飲めそうな店を探すか・・・。
いやちょっと待て。ここまで来れば美唄は目と鼻の先。
お気に入りのあの店に寄ろうか。
ということで砂川駅15時51分発岩見沢行き721系に飛び乗り、16時08分美唄駅着。
駅から徒歩10分。
目的は美唄焼鳥の店だ。一度訪れたことがあり、たいそう気に入った店なのだが、またここに来ようとは。
昼から(ランチセットもある)やってる店で、期待通り暖簾がかかってたのをみた時には、妙な安堵感が(笑)
またもやモツと精肉をつまみながらビール。
ザンギも美味しそうなのだけれど、さすがに空腹というわけでもなく、何しろそれより食べたいのがモツそば。
モツを湯がいた茹で汁でつくるおつゆが絶品。これにまみれたモツ串がまた旨い。
ということで、今日のところはこのくらいで勘弁してやる(笑)と、帰路へ。
17時19分美唄発721系に乗り、18時34分旭川着。
さすがに疲れたねといいつつ、旭川駅に到着するや「安着祝いだ」と繁華街に繰り出す一行なのだった。
やっぱ、列車はいいね。寝てるうちに疲労回復(笑)
いっそのこと、話のネタに、さらに旭川駅から永山か美瑛にでも飲みに行けばよかったかな。JRだと車で行くよりぜんぜん早い。
乗った分を普通車乗車券に換算すると
もしも「道北一日散歩きっぷ」を使わずに、乗るたびに乗車券を買っていたら、各料金は以下の通り
旭川〜留萌 1,890円
留萌〜深川 1,290円
深川〜滝川 540円
滝川〜砂川 290円
砂川〜美唄 440円
美唄〜旭川 1,680円
合計 6,130円 かかった計算になる。ほどほど乗り回っただけだが「道北一日散歩きっぷ」はかなりお得。
まともに乗ってたら飲食代は出ません。というか乗り放題券がなかったらこんな乗り鉄しませんけどね(笑)
次なる機会あらば、宗谷本線、石北本線、富良野線も走破してみたいです。
美味しいもの、旨い酒を味わう時間が何より大事。
不惑の呑兵衛を目指すべく、きき酒師の資格を取得。
・SSI認定FBO公認 きき酒師
・日本酒WEBメディア SAKE TIMES ライター